球体とリズムBACK NUMBER
ギグス采配でウェールズ旋風を再び。
ベイル健在、有望株を次々と抜擢。
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph byUniphoto Press
posted2018/09/17 11:00
レジェンドであるギグス監督のもと、ベイルらウェールズ代表は新たなスタートを切っている。
最年少アンパドゥにスター性が。
起点となったのは最年少のアンパドゥだ。ガーナの血を引くセントラルMF(兼センターバック)の超新星は、センターサークルでボールを受けると、無駄のない動きで正確に右へ展開。再びボールが中央に戻ってくると、ジョー・アレンが縦にスルーパスを通し、抜け出したトム・ローレンスが右足を振り抜いてネットを揺らした。
さらに18分にはベイルが、分かっていても止められないカットインから豪快な左足の一撃で加点。すると37分にはまたしてもアンパドゥが躍動する。元プロ選手で指導者の父を持つ早熟のタレントは、中盤で激しくボールを奪うと、そのままスピードに乗って持ち上がり、絶妙なパスでアーロン・ラムジーのゴールをお膳立てした。
ゴール後のセレブレーションで得点者と抱き合ったアンパドゥの堂々たる姿は、とてもティーンエイジャーには見えなかった。ナチュラルなドレッドロックと髭を蓄え、眩いスター性も備えている。
後半には両チームともに1点ずつを加え、試合は4-1で終了。アイルランドのベンチにはアシスタントコーチのロイ・キーンが座っており、ユナイテッド対決とも言えた試合はギグスのウェールズに軍配が上がった。
デンマーク戦は未熟さを露呈も。
「今夜の我々に抗えるチームは、それほど多くなかったはずだ」と試合後にギグス監督は話した。
「選手たちにはこう言った。君たちはこの水準を維持しなければならない。成長し続けなければならないのだ、と」
ところが3日後、敵地でのデンマーク戦では、若いチームの現実を思い知らされることに。ロシアW杯のラウンド16で、その後に準優勝するクロアチアにPK戦で競り負けた相手は、こなれたゲーム運びとエースのクリスティアン・エリクセンの2得点でウェールズを退けた。
この日はベイルもラムジーも不発に終わり、アンパドゥはハンドでPKを献上して、2失点目の引き金となってしまった。