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DeNA東克樹は大胆で器用で強心臓。
セの新人王争いを10勝で独走中!
posted2018/09/16 11:30
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph by
Kyodo News
崩れそうで崩れない。現状を把握し、しっかりと踏みとどまる――それがDeNAのルーキー東克樹の真骨頂である。
オリックスから移籍して以来、東のボールを受けつづけてきた伊藤光は、感心しながら次のように語る。
「自分の球種に対して“こう投げたい”という意図が見えてくるので、そこがルーキーっぽくないと思いますね」
東は抜群のキレを持つ150キロを超えるストレートを軸に、スライダー、カーブ、チェンジアップといった変化球を巧みに使い分けてピッチングを組み立てる。
ランナーを背負う機会は多いが、他のDeNAの先発陣が粘り切れず大崩れする中、東だけはここぞという場面で奪三振率8.87(以下データは9月14日現在)という高い数字が示すように、寸前のところでピンチを切り抜ける。
すでに10勝に到達し、防御率は2.62。今季のセ・リーグ新人王最右翼に名乗りを挙げている。
ブルペンでボールが荒れても、試合はOK。
ラミレス監督も、この東の新人らしからぬ“修正能力”に高い評価を与えている。
「試合中にいろいろと考えながらやれる投手。制球に苦しみながらもしっかりと修正できるのは、セルフコントロールの部分で優れているからだと思う」
ブルペンを預かる木塚敦志コーチは、東の“修正能力”について次のように話してくれた。
「ゲーム中でも冷静に現状を把握することのできる選手。じつは春のキャンプのときから“この場面で僕はこういうピッチングをします”と自分の状態を踏まえた話をしてくれていたんです。そういう風に言える新人はなかなかいないですよね」
また試合前のブルペンでボールが荒れていたとしても、試合ではしっかりとまとめてくるところにも非凡なものを感じるという。