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DeNA東克樹は大胆で器用で強心臓。
セの新人王争いを10勝で独走中!
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byKyodo News
posted2018/09/16 11:30
東克樹は投球回数、勝利数ともにDeNA投手陣の中でダントツ。末恐ろしいルーキーである。
伊藤の評価は「大胆であり、器用でもある」。
逆にたとえブルペンで調子が良くても、それをそのままマウンドで出せない選手も多い。思い出すのは4月5日の阪神戦、横浜スタジアムでの初登板のときに「初めての本拠地でしたが、まったく緊張することなく楽しめました」と言ってのけたことだ。170cmと小柄な体ではあるが、東はこれ以上ないビッグハートを携えている。
「大胆であり、器用でもある」と、前出の伊藤は、その性格と投球術について語る。
「自分の意見を持ちながらも素直。こっちが“今こういう状態だから”と伝えても、気にすることなく冷静に受け止めてくれるし、“自分もそう思っているんですよ”と自分の意見も言ってくれる。
攻めとして特徴的なのは左打者に対するストレートですね。通常、サウスポーは左打者に対しストレートが抜けやすい傾向があって怖いんですけど、東はインサイドに思い切って投げ込めるし、僕としては非常に組み立てやすいなって。ここは左打者を抑えるのに大事なポイントだし、それが長いイニングを投げられる要因になっていると思いますね」
シーズン開幕前、プロ野球評論家から「東は左バッターの胸元に差し込むボールがないので苦労する」という指摘を散見したが、どうやらそれは杞憂に終わったようだ。
キャッチャー陣も立ち直りを全力フォロー。
「真っ直ぐはもちろん素晴らしいのですが、ここぞという場面でしっかり変化球でカウントが取れる。高さ、コースを間違えないというのが徹底していて、その積み重ねが現在の成績に繋がっているんでしょうね」
伊藤のこの信頼感。一方、東は梅雨時期から夏場にかけボールがいかず、ラミレス監督からしばし休養を与えられたが、キャッチャー陣の「大丈夫だから」「野手がしっかり打ってくれるから」という言葉に救われ、修正に至ったという。