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谷口彰悟と車屋紳太郎の“熊本兄弟”。
川崎のCB物語は日本代表へと続く。
text by
いしかわごうGo Ishikawa
photograph byGetty Images
posted2018/09/05 11:50
川崎フロンターレには谷口と車屋がいる。今以上に攻撃的だった時期を後方で支え続けた自負もあるはずだ。
小学生から親友の“熊本兄弟”。
もっとも、センターバックが本職ではない車屋は、ロングボールやカウンターに不慣れな対応を露呈する局面もある。しかし、そこは隣にいる谷口が的確にサポートする。付き合いの長い車屋の癖は、知り尽くしていると言っても過言ではない。
「どこでもレベル高くできる選手なので、任せるところは任せていますよ。センターバックとしてのちょっとした判断とかは、まだサイドバックっぽい感じが見て取れますけど。早めに出たら自分が埋めたりと、カバーしながらやってます。基本的にあまり考えずにやるタイプなので、考えないでやらせていますね(笑)」(谷口彰悟)
有名な話ではあるが、この2人は熊本県熊本市の同郷出身である。
年齢は谷口が1歳年上で、実家は近所同士。小学生時代は、毎日のように遊戯王のカードバトルで遊んでいた間柄だという。
ともに名門・大津高校に進み、筑波大学、そして川崎フロンターレと、大学からプロに至るまで同じキャリアを歩んでいる。そして去年はJ1優勝の瞬間をピッチで噛み締めた。まるで兄を追う弟のような関係性で、2016年にクラブが漫画『宇宙兄弟』とコラボした際のポスターには、南波六太と弟の日々人のモデルとしてこの2人が起用されたほどだ。宇宙兄弟ならぬ、熊本兄弟といったところだろうか。
「シンタロウはずっとあんな感じですよ」
なお性格は対照的だ。しっかり者でリーダータイプの谷口と、ミステリアスでどこか掴めない車屋。特に車屋に関しては、いまだに性格が掴めないと嘆くチームメートも少なくない。以前、谷口に尋ねてみたことがあるが、彼は子供の頃から何も変わっていないと笑っていた。
「シンタロウはずっとあんな感じですよ。人と違う変なツボを持っているというか、自分の世界を持っている感じですね。(大津)高校のときも監督に、『お前は部屋に篭って爆弾を作っているタイプだな』って言われてましたから(笑)。そのぐらい、何を考えているのかがわからないやつなんです」