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今季のトップリーグは一味違う!
ラグビーの魅力が詰まった開幕戦。
text by

大友信彦Nobuhiko Otomo
photograph byNobuhiko Otomo
posted2018/09/06 17:00

トップリーグ開幕戦で両チームが見せた激闘。W杯前のシーズンらしい最高の船出となった。
最後の20分、我慢し続ければ。
対するトヨタもまた、愚直なまでに身体をぶつけ、鍛え上げたフィジカルの強さで勝負するのがチームのカルチャーだ。リードして折り返した後半の立ち上がりにも、サントリーのミスを突いて立て続けに加点した。59分の時点で25-10。この日最大の15点差がついた。
だが、試合時間はまだ20分以上残っていた。
胸突き八丁。心臓破り。第3コーナー。あらゆるスポーツがそうであるように、実力伯仲の戦いで勝負を決するのは最後の時間帯だ。
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「トヨタは後半の最初から足がつっている選手がいたし、最後の20分、我慢し続ければ絶対に勝てる。我慢し続けようと話しました」(サントリーSH流大主将)
昨季サントリーが達成したトップリーグ連覇は、どこまでもボールを動かし続ける攻撃ラグビー、それを可能にするスタミナが決め手だった。実際、昨年のトヨタ戦は18点差をつけられてからの逆転勝ちだった。
戦術もフィジカルもスピードも高めながら、チームの根幹には当たって倒れてもすぐに起き上がって走り続ける。そんなフィットネスへの揺るがない信頼がある。その原点に加えてチーム内競争に勝てなければ、どれだけパスやキックが上手くても、圧倒的なパワーを有していても、試合のメンバーには選ばれない。
ひたむきさ、ハングリー精神と重なるその伝統は、勝ち続けても揺らがない。それが自信となっている。
ロスタイム、死力を尽くした攻防。
試合は最後の20分間に入った。
サントリーに振り回されて疲れが覗いたトヨタ防御に対し、サントリーのアタックがテンポをあげる。FWのパワーランナーが接点で前に出る。途中出場のSO田村煕(ひかる)が62分にPGを決め、71分にトライも挙げた。コンバージョンも決め、5点差に追い上げる。
そしてロスタイム、攻防はトヨタのゴール前へ。ボールを次々と動かして遮二無二攻め立てるサントリー。トヨタは死力を尽くして足を動かし、前進を阻む。反則があってもサントリーはトライを求めて地上戦を選択し、さらに攻める。