ゴルフボールの転がる先BACK NUMBER
HKT48と会える男子ゴルフツアー。
夏フェスを作り上げた“門外漢”。
posted2018/09/01 10:00
text by
桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph by
Yoichi Katsuragawa
福岡・博多発のアイドルグループHKT48。全国どこに行っても、彼女たちの目の前には色とりどりのペンライトやうちわを手に、大きな声で応援してくれるファンがいる。
ただ、この日ばかりは少し様子が違う。
8月最終週、土曜日の午後。ステージは青々とした芝生の上。お客さんの中には握手会にはあまりいない、おじいちゃんやおばあちゃん、なんだか少しばかりガタイのいいアスリートの姿がある。
ここはゴルフ場。男子プロゴルフのトーナメント会場である。福岡・芥屋GCで行われるRIZAP KBCオーガスタの3日目、全選手ホールアウト後のスペシャルステージだった。
前年に続き2度目の試みとなったこのイベントは、18番ホールで行われ、グリーン奥のスタンドの多くをHKTファンが占めた。飛ぶ声は「ナイスバーディ!」ではなく、「ファイヤー!」に「サイバー!」、それに準ずるもの。35度を超す炎天下などものともせず、玉のような汗を額に頬に光らせて笑顔するのは、演者も応援する側も同じだった。
池田勇太を「ユウタちゃん!」。
ステージの後、プロゴルファー6人によるアプローチコンテストが行われた。HKTのメンバーが応援に回ったからか、大勢のファンもその様子を見守ってくれた。普段は大方が無関心であろうチップショットにも、一喜一憂してくれる。
「おお、近い!」「あー! これはスピンがかからないか!」
……意外と知ってるなぁ。
一回り近く年下のアイドルから飛んだ無邪気な「ユウタちゃん!」という声援に、タジタジになっている池田勇太の姿を見ることも、滅多にない機会である。
1973年に始まったこの大会は、昨年からファンサービスが大いに様変わりした。「プレー中はお静かに」が通例のゴルフの試合で、ポップスやダンスミュージックを場内に一日中響かせている。
パー3の8番ホールにはDJを配置し、ティグラウンドに上がる選手をその都度マイク越しに紹介。第1打を放つと同時に「Get in the hole!」(入れ!)と声を上げてホールインワンを願った。4日間を通じて、同ホールで放たれたティショットは計414。実際にカップインしたものはなかったのだが、それもよしとしよう。