ゴルフボールの転がる先BACK NUMBER
HKT48と会える男子ゴルフツアー。
夏フェスを作り上げた“門外漢”。
text by
桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph byYoichi Katsuragawa
posted2018/09/01 10:00
HKT48の黄色い声援を受けてゴルファーが登場する。RIZAP KBCオーガスタの意欲的なイベントの1つだった。
ピンヒールの女性も来たくなる。
さて、松山との偶然のエピソードもさることながら、アリゾナで彼が驚いたのは来場者の姿だった。
「ピンヒールを履いてくる女性もいるんですよ」
その格好で、仮に斜面を歩いてタイガー・ウッズを追おうものなら、1ホール目で脱落である。彼の目に数万人のギャラリーの多くは、およそゴルフファンではない層に見えた。
「そういう人が来ればゴルフのも人気コンテンツになるんじゃないか」
ここからは、自分のキャリアが役に立つと思えた。
HKT48を呼べたのも、昔取った杵柄から。番組制作などで培った事務所との関係が功を奏した。それまでは仕事の付き合いがメインだったプロ野球・ソフトバンクホークスの試合をお客として観戦に訪れ実地調査もした。
「ヤフオクドームの中をよく見たら、絶対に野球に興味がなさそうな人がいっぱいいるんですよ。聞いてみると『7回裏の前のジェット風船が楽しみ』だとか、『選手の登場曲が楽しみ』、『球場で飲むビールがおいしい、食べ物が好き』とか……なるほど、と」
イベントの中にゴルフがある発想。
ゴルフだけではなく、他のスポーツも来場者の楽しみ方は多岐にわたる。エンターテインメントの供給が画一的では、需要をに満たせない時代。大会は今年、音楽との調和をもとに“夏フェス”のテーマを打ち出した。地元の人を集めた特設ステージも「極論、カラオケ大会でもいい。ゴルフに興味がなくても、地元だから出演者の家族や知り合いが見に来てくれる」という狙いがある。
ゴルフトーナメントにイベントが付随する、のではなく、イベントの中にゴルフトーナメントがあるという逆転の発想。コースの向こうに広がる玄界灘を眺めてつぶやく。
「芥屋の花火大会、(地域の)予算がなくて最近、中止になっちゃったんです。クラブハウスをVIP席にして、アフターパーティなんかどうかなあ……」
来年以降の構想も広がるばかりだ。