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ネガティブで粘着質なモウリーニョ。
マンU指揮3年目の解任は不可避か?
text by
粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph byGetty Images
posted2018/08/14 11:00
マンチェスター・ユナイテッドで結果を残しきれないモウリーニョ監督。3年目の結果次第では……。
年を重ねても円くならず尖る。
レアル・マドリーを率いていた当時は、メディアとの論争に明け暮れた印象が強い。チェルシー復帰後は、ドクターを務めていたエバ・カルネイロ(美しすぎる女医さんとして注目されるが、すでに退任)の医療的処置を「タイミングが悪すぎる」と批判。一時は練習場への出入りを禁止するほどの高圧的な態度で、周囲のヒンシュクを買った。
人間、歳を重ねれば円くなるものだが、モウリーニョだけは尖り始めている。
しかも、その対応がすべてネガティブだ。
2016-17シーズンにユナイテッドの監督となって以降、当然、選手たちとの関係も一触即発のリスクをはらんでいる。アントニー・マルシャルとは起用法、プレシーズンマッチの対応をめぐってギクシャクしており、ポール・ポグバが慎重すぎるゲームプランに疑問を抱いていることは周知の事実だ。
前出のファーディナンドも、「好ましくない緊張感が漂っている」と、古巣の現状を憂えていた。
頑なすぎるマネジメントでは。
夏の補強が遅れたことも、モウリーニョの神経を逆撫でしている。
本稿執筆時点で獲得したのは、フレッジとジオゴ・ダロトのふたりだけだ。相思相愛と伝えられるトビー・アルデルバイレルト(トッテナム)、ハリー・マグワイア(レスター)との交渉は遅々として進まず、再建のプランが頓挫する恐れも出てきた。モウリーニョはエリック・バイリーを除く現有のセンターバックを信頼しておらず、少なくともひとりは一線級を確保したかったのだが……。
いや、即戦力のセンターバックを補強できたとしても、モウリーニョが許容範囲を広げなければ意味がない。
近ごろの彼は狭量で、意見を異にする者を不当にバッシングするケースも少なくない。人間関係に亀裂が走る。一方、ピッチ上ではもう少し攻撃的になるべきだ。
ポグバ、アレクシス・サンチェス、フアン・マタ、そして成長著しいアンドレアス・ペレイラを軸とするテクニカルな攻撃もアイテムに加えたい。ロメル・ルカクとマルアヌ・フェライニの高さだけでは限界がある。要するに柔軟性だ。頑なすぎるマネジメントは周囲の反感を招くだけだ。