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ネガティブで粘着質なモウリーニョ。
マンU指揮3年目の解任は不可避か?
posted2018/08/14 11:00
text by
粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph by
Getty Images
感情的な理由付けをせずに、プラス思考で物事を捉えてみないか。近ごろは内向きの批判が多すぎる。尊敬するサー・アレックス・ファーガソンを訪ね、リーダー論に耳を傾けてみないか。目の前の風景がガラリと変わるかもしれない。
マンチェスター・ユナイテッドのジョゼ・モウリーニョ監督は、すっかり粘着質になってしまった。もちろん、報道されるコメントが脚色されるケースは多々ある。
「強化担当部に獲得リストは提出済みだ」という内容が、「強化の遅れにモウリーニョ不満」に姿を変え、上層部と深刻な対立にあるようなイメージで伝えられる。いわゆる印象操作だ。
「いつになったら戻ってくるのだ!?」
昨シーズンもルーク・ショー、クリス・スモーリング、フィル・ジョーンズなど、リハビリに長すぎる時間を要した数選手に辛辣なコメントを発したが、すべて鵜呑みにはできない。
リオ・ファーディナンド、ガリー・ネビルといったユナイテッドのOBたちも、「モウリーニョの気持ちはよく分かる」と、戦列復帰が当初の予定より大幅に遅れた選手たちに不快感を隠さなかった。
しかし、現場の責任者である以上、飴と鞭を巧みに使い分ける必要がある。有能な監督は選手に寄り添い、権力を乱用しない。成長のチャンスを奪わず、モチベーションを常に刺激する。
昔は“凄腕上司”の典型だったが。
FCポルトからチェルシーに着任し、その後インテル・ミラノに転出したモウリーニョは、“凄腕上司”の典型だった。
クセのあるジョン・テリー、フランク・ランパード、ディディエ・ドログバ、アシュリー・コールは、口をそろえて「サッカー選手として成功できたのは、すべてモウリーニョ監督のおかげ」と公言している。
ピッチ内外でトラブルメーカーだったマルコ・マテラッツィでさえも、モウリーニョが退団する際は人目も憚らずに慟哭した。それらはすべて、彼らがポルトガル人の指導者に魅了されていた証である。
それほどの男が、なぜ変わってしまったのだろうか。