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陸上競技エージェントという仕事。
ツアー出場、レーン順も彼ら次第!?
text by
及川彩子Ayako Oikawa
photograph byKyodo News
posted2018/07/29 11:00
桐生祥秀も出場したダイヤモンドリーグ上海大会は、オランダのエージェンシーが主催。
桐生が出場した上海大会は……。
例えば5月に桐生祥秀選手が出場したDL上海大会は、オランダの陸上専門のエージェンシー「グローバル・スポーツ・コミュニケーション」が主催している。同社のディレクター、ヨス・ヘルマンス氏は陸上エージェントのパイオニア的な存在で、陸上界でも絶対的な力を持つ人物。そういった理由もあり、上海大会には同社が抱える選手たちが優先的に出場している。
ほかにもエージェントが主催者を兼ねる大会は多く存在するが、自分の抱える選手を勝たせるためにライバルになりそうな選手を排除するケースもある。
トップ選手のエージェント契約は義務。
国際陸上連盟は、2012年に「ランキング30位以内の選手は国際陸連公認のエージェントをつけなければならない」という規則を設けている。
これはレース主催者が円滑に運営できるようにするためという目的に加えて、陸上のエージェントの立場を守る保護政策的な規則とも言える。多くのエージェントにとって収入源は、試合の出場料、賞金などの一部になっているが、エージェントの取り分、つまりマージンはそれぞれ異なるものの、10~15%が一般的だ。
DLでの大会ごとの優勝賞金は1万ドル(約110万円)、総合優勝は5万ドル(約550万円)だが、8位だとそれぞれ1000ドル(約11万円)、2000ドル(約22万円)で、そこから税金が引かれ、コーチ、エージェントへ支払いをすると手元に残る金額は微々たるものだ。しかしエージェントがいなければ試合出場すら難しいため、必要経費とみなすしかない。
ただエージェントによっては年俸や獲得賞金が一定金額に満たない選手からはマージンを受け取らず、完全にボランティアで行うエージェントも存在する。