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陸上競技エージェントという仕事。
ツアー出場、レーン順も彼ら次第!?
posted2018/07/29 11:00
text by
及川彩子Ayako Oikawa
photograph by
Kyodo News
7月21、22日に開催され、陸上の短距離男子チームらが出場したダイヤモンドリーグ(以下、DL)のロンドン大会。DLは国際陸連が毎年行うもので、年間14試合を戦い、最終戦となるブリュッセル大会で種目ごとの年間チャンピオンを決めるツアー大会だ。
世界選手権や五輪よりも出場人数が限られた、いわば「選ばれし者の大会」だが、今季、これらの大会に出場した日本人選手は、残念ながら数えるほどだ。DLやその他の賞金レースに出場するにはいくつか越えなければならないハードルがある。
(1)各大会の主催者に認められる成績を出す
(2)各大会の主催者に有力なコネを持つエージェントをつける
この2点は必須事項になってくる。
多様な役割を果たす陸上のエージェント。
各スポーツ界でエージェントが活躍しているが、競技によって役割や業務内容が異なる。例えば野球、アメフト、バスケット、サッカーなどのエージェントは、選手のチーム契約が最も重要な仕事で、契約金や契約年数、そのほかの手当てやボーナスに関する契約条項をチームとやり取りする。
野球であれば先発を約束してくれるチームだったり、大谷翔平選手のようなケースは二刀流に理解を示してくれるチームなどの希望を出す場合もあるだろう。だが、契約がまとまればチームの起用方法などに対して意見を言うことは少ないだろう。
チームスポーツの選手を抱えるエージェントと大きく異なるのが、陸上競技のエージェントだ。彼らもスポンサー契約やメディア対応、遠征の手配など、ほかのスポーツのエージェントと同じ業務を行っているが、シーズン中の最も重要な仕事として「試合出場に関する交渉」がある(ただし世界選手権や五輪などはこれに含まれない)。