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オリ山本由伸はおそるべき19歳。
得意球封印は「先のことを考えて」。 

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米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

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photograph byKyodo News

posted2018/07/27 10:00

オリ山本由伸はおそるべき19歳。得意球封印は「先のことを考えて」。<Number Web> photograph by Kyodo News

オリックスのリリーフエースに成長した山本。監督推薦メンバーとしてオールスターゲームにも出場した。

ストレートと見紛うカットボール。

 昨年の山本の高卒新人での勝利は、オリックスでは平井コーチ以来、23年ぶりのことだった。平井コーチは2年目に抑えに抜擢され、リーグ優勝に貢献した。山本と重なる部分が多いように思えるが、「時代が全然違いますから」と平井は苦笑する。

「投げるイニングも練習方法もまったく違う。僕は7、8、9回と3イニング投げることもありました。僕らの時代は基本的に、先発ローテからもれた投手がうしろの中継ぎをやるという感じで、当時はクローザーという言葉もなかった。今の時代に彼がセットアッパーというポジションをしっかり築いているのはすごいなと思いますよ」

 今年、山本の投球の軸になっているのは、昨年より威力の増したストレートと、140キロ台のカットボールだ。特に昨年なかったカットボールは、ストレートに近い球速で微妙に変化し、打者をおおいに手こずらせている。

 捕手の山崎勝己は、「あれはやっかいな球でしょうね。カットボールって、スライダーっぽくなる投手も多いけど、あいつのカットボールは本当にまっすぐに見えて、最後に曲がるから、バッターからしたらどうしようもない球だと思う」と語る。

 カットボールは昨年12月に投げ始めたばかりだと山本は言う。

「自分の幅を広げるために必要なことだと思って。投げてみると、たまたま自分に合っていて投げやすかったし、楽だったので、これはいいかなーと」

肘への負担を考えてやめたスライダー。

 一方で、今年消えた球種もある。スライダーである。

 スライダーは山本の代名詞とも言える変化球だった。

 昨年のプロ初登板のロッテ戦、5回1アウト満塁でバッター井口を迎えた場面。カウント3-1で、山本は捕手・若月健矢のサインに首を振り、スライダーを2球続けて併殺に打ち取りピンチを切り抜けた。

 それほど自信を持っていた球を、なぜ今年、封印したのか。山本は言う。

「ボールが通用しないとかそういうわけじゃなく、大きく曲がる変化球って、ずっと投げているとしんどいと感じたので。スライダーって曲がりが大きい分、ちょっと抜いて投げたら、相手がプロだと簡単に打たれてしまう。だから思いっきり腕を振らないといけないんですけど、そうするとやっぱりしんどいんです。

 肘とかへの負担がすごく大きいので、まだ体がちゃんとできていない中で投げるのは控えるべきかなと思って。去年はスライダーに頼ってばかりだったので、こんなんじゃダメだなと。先のことを考えても、今を見ても、違うのかなと思ったんです。

で、どうすればいいかなーと考えて、カットボールをどんどん打たせていきたいと。自分も楽になるし、という感じです」

【次ページ】 投げることに特化したグラブも採用。

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