猛牛のささやきBACK NUMBER
オリ山本由伸はおそるべき19歳。
得意球封印は「先のことを考えて」。
posted2018/07/27 10:00
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
Kyodo News
4位、3位、5位……。めまぐるしく順位が入れ替わる熾烈な戦いの中、オリックスで勝ちパターンの8回を任されているのが、高卒2年目の19歳、山本由伸である。
23ホールド、27ホールドポイントは7月24日現在パ・リーグトップで、防御率も1.46。7月4日には、パ・リーグ歴代3位で、10代では史上初の15試合連続ホールドポイントを記録した。
ルーキーイヤーの昨年から大物の予感は漂わせていた。150キロを超える力のあるストレートと、スライダー、フォークなど多彩な変化球を交え、ウエスタン・リーグで8試合33回2/3を投げて失点1、防御率0.27。しかも四球がわずかに2個という驚異的な成績を残し、昨年8月に一軍に昇格した。
初登板・初先発した昨年8月20日の千葉ロッテ戦は、5回1失点の堂々たるデビュー。5回表の1アウト満塁のピンチにもまったく動じることなく、自慢のスライダーで井口資仁(現・千葉ロッテ監督)を併殺に打ち取り、強心臓ぶりを見せつけた。そして2度目の先発となった昨年8月31日のロッテ戦でプロ初勝利を飾った。
「リリーフにはセンスが必要」
今年は開幕直前まで先発ローテーション入りを争い惜しくも逃したものの、リリーフとして4月24日に一軍昇格。無失点投球を続け、勝ちパターンを任されるようになった。
緊迫した場面での登板でも、変わらず度胸よく投げ込み、マウンドを下りれば「楽しいです」と緊張とは無縁の屈託のない笑顔で答えた。
5月以降はセットアッパー・山本と守護神・増井浩俊の鉄壁のリレーが完成し、交流戦2位になるなどチームの浮上を支えた。
山本が先発からリリーフに転向した理由を、平井正史投手コーチはこう語る。
「リリーフには適性というか、センスが必要。すぐに肩ができることと、やっぱり球が速いこと。それに決め球を持っている。そういうところはリリーフ向きなんじゃないか。コントロールもいいですしね。強心臓というか、表情を変えずにどんどん投げ込んでいく。若いので、怖さというのはまだ覚えてほしくないですね」