猛牛のささやきBACK NUMBER
オリ山本由伸はおそるべき19歳。
得意球封印は「先のことを考えて」。
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byKyodo News
posted2018/07/27 10:00
オリックスのリリーフエースに成長した山本。監督推薦メンバーとしてオールスターゲームにも出場した。
投げることに特化したグラブも採用。
野球人生を見据えたクレバーな判断だ。しかし、最も信頼していた変化球を手放すことに抵抗はなかったのだろうか。
そう聞くと、「そんな、守るほどのものでもないんで」とあっさり言ってのけた。
「まあこれからどこかでちょっとずつ(スライダーを)挟んでいこうかなと思ってはいますけど、あまり頼りたくはないですね」と未練は感じさせない。
今年は、体の動きにこだわり、投げることに重点を置いて開発されたグラブを使用している。Ip Selectという新しいメーカーのグラブで、その機能のものを使っているのはまだ山本1人だが、「一体感というか、グラブだけど手の延長線というか、とにかく投げやすいんです」と目を輝かせる。
トレーニングも自分に合ったものを選んで行うなど、山本は自分のことをよく知り、考え、本当に自身に必要なものや合っているものと、そうでないものを、冷静にシビアに取捨選択しながら前進を続けている。末恐ろしい19歳である。