ブンデス・フットボール紀行BACK NUMBER
ブンデス2部は8月1週にもう開幕!
酒井高、伊藤のHSVは即昇格なるか。
text by
島崎英純Hidezumi Shimazaki
photograph byGetty Images
posted2018/07/26 16:30
ハンブルガーSVには酒井高徳と伊藤達哉も在籍する。初の2部でどんな戦いを見せるのか。
ケルンの人々の手厚いサポート。
そしてケルン。ケルンはHSVと異なり過去に5度2部降格の憂き目に遭っており、今回が6度目の2部降格となりました。
最近では2011-2012シーズンに降格し、2年間2部で戦っています。これまでは最長でも2年で1部へ返り咲いていますが、今季は果たしてどうなるか。ただ、ケルンの場合もHSVと同じく、地元の方々のサポートは大変手厚いです。
ケルンのホーム、ラインエネルギー・シュタディオンは、ブンデスリーガの中でも屈指のアクセスの悪さです。市内中心部のケルン中央駅付近からはトラムで向かうのですが、通常だと片道約20分。試合当日は利用者が急増してダイヤが乱れるため、30分経っても着かないときがあります。
それでも地元サポーターの熱意は萎えず、『トラムが混んでるんだったら、スタジアム近くのクナイペ(ドイツの大衆居酒屋)でケルシュ(ケルンの地ビール)でも飲んでから向かえばいいじゃん』と、皆さん独自の方法でエンジョイしています。
ちなみにケルンの昨季の観客動員数は1試合平均48464人でリーグ8位ですが、立ち見を含めたラインエネルギー・シュタディオンの収容人数は50374人なので、ほぼフルハウス状態。年間でホームチケットが完売したのが17試合中11試合なので、その人気は凄まじいものがあります。
シーチケの応募倍率は約303倍!
しかも、今季は2部に降格したにもかかわらず、シーズンチケットの応募倍率はなんと約303倍! 現在のシーズンチケットは25500枚に制限しているのですが、昨季限りでシーズンチケットを解約したのは僅か38人しかいなかったそうです。
つまり、ケルンのサポーターはクラブを見限らなかったどころか、今季も全く変わらず熱狂的なサポートを注ぎ続けているのです。
ケルンの選手たちも、クラブ愛を示しています。大迫勇也はステップアップのために1部ブレーメンへの移籍を決断しましたが、正守護神のティモ・ホルン、ドイツ代表の左SBヨナス・ヘクター、そしてケルン育ちで2013年に他クラブから地元クラブへ移籍して飛躍を果たしたMFマルセル・リッセなども早々にチームへの残留を宣言しました。
ケルンのフロントは、所属選手たちに対して2部降格した場合に他クラブへ移籍できる条項を盛り込んでいたのですが、それを行使した者は限られていて、大半の選手はクラブの1部復帰へ全力を注ぐ気概を示したのです。そうした態度がケルンサポーターの琴線に触れているのは間違いありません。