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オシムが予見、W杯後の日本と世界。
「あなた方には大きな可能性が」
posted2018/07/25 11:30
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph by
Getty Images
決勝が終了した直後に電話をすると、アシマ夫人が「セレモニーを見たいからあとでかけ直してください」という。結局、この日は話が出来ず、翌日に改めて電話をすることになった。
ところが次の日も、夕方に起きるとクロアチアの凱旋の様子をテレビで見たいとのこと。実際に話が聞けたのは、さらにその翌日だった。
そこでオシムが語ったのは、大会そのものの総括以上に、サッカーとワールドカップが世界に与える影響と可能性、さらに日本はどこに進むべきかといった、より大きく包括的なテーマに関してだった。
クロアチアで興味深い議論が。
――元気ですか?
「ああ、悪くない。選手たちがザグレブに到着し、スプリトや他の小さな都市でも、クロアチアが国を挙げて彼らを歓迎した。そしてテレビでは様々な興味深い議論がなされた。そこには将来に向けてのプロジェクトも含まれていた。それは代表のために新しいスタジアムを作るというもので、スプリトにするのかザグレブにするのか、場所はまだ決まっていない。問題は本格的に具体化しようとしたときに、どれだけ真剣に議論して実現まで持っていけるかだ」
――素晴らしいプロジェクトだと思いますが……。
「代表が成果をあげたことで、人々に生きる希望が湧いてきたのは事実だ。それで日本はどうなっているのか?」
――ずっとこっち(ロシア)で仕事をしていたので、このところ日本で何が起こっているのかあまりよくわかりません。
「それが当然だ。私は日本がすべてうまくいき、さらによい状態になることを望む。とりわけサッカーに関して、小さな国がいい例を作りあげた。これだけ大きなことを成し遂げ得るとは」