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世界各国で経験を積んだ田中博康。
騎手から調教師へ、目標は凱旋門賞。 

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平松さとし

平松さとしSatoshi Hiramatsu

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posted2018/07/20 16:30

世界各国で経験を積んだ田中博康。騎手から調教師へ、目標は凱旋門賞。<Number Web> photograph by Photostud

2017年2月、田中博康は騎手仲間や関係者に囲まれ騎手引退セレモニーを行った。

難関の調教師試験を最年少で合格。

 これだけの修行をしたが、残念ながら、それが結果という形ですぐに日本の競馬に反映される事はなかった。

 '12年以降の勝ち鞍はいずれも一桁。デビュー当初に見せた輝きを取り戻す事はできなかった。

 しかし、競馬に対する情熱が冷める事はただの一瞬たりともなかった。

 なかなか思うように勝てなくなった後も、毎年のように海を越えた。すっかりリピーターとなったフランスでは、毎年のように遠征してくる様々な日本馬にも手を貸した。イギリスやアイルランドにも飛んだ。

 こうして経験を積み、見聞を広めた彼は'16年に調教師試験を受けると見事に合格。何度受けてもなかなか受からない人が多数の難関を、なんと初めての受験で突破。これは騎手上がりとしてはJRA史上最年少での合格であった。

 合格した後も手綱を緩める事はなく、次から次へとカードを切った。合格から開業までの1年少々の時間を利用し、まずは香港へ渡った。開業までの勉強だと考えると、クィーンスプマンテとの思い出の地ではあったが、感傷に浸っている時間はなかった。

 またフランスへも戻った。現役ながらすでに伝説的な名調教師となっているアンドレ・ファーブル厩舎で研修を行った。

 さらにドバイではワールドCデーに臨む日本馬陣営に帯同。オーストラリアでは南半球最大のレースであるメルボルンCを観戦しつつ現地の人脈も広げた。

 厩舎から海外遠征できるような馬が出てから慌てるのではなく、事前に見られるものは全て見ておくという姿勢でいると、アッという間に時間は過ぎた。

厩舎に掲げられた凱旋門賞制覇の看板。

 そして今年の3月、ついに厩舎を開業すると、その月のうちに開業後初勝利をマーク。4月にも2つ勝つと、6月には2歳のホールドユアハンドで新馬戦を優勝。4勝目を記録してみせた。

「将来楽しみになる強い勝ち方をしてくれました」

 そんなホールドユアハンドは今週末の7月22日に行われる函館2歳S(GIII)に駒を進める。厩舎初の重賞制覇を目指し、初の重賞出走に胸を高鳴らせる若き調教師。彼の厩舎には“凱旋門賞制覇”とえがかれた大きな看板が掲げられている。

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