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堂安律、その野望を大いに語る。
「ムバッペを引きずり下ろしたい」
text by
生島洋介Yosuke Ikushima
photograph byShigeki Yamamoto
posted2018/07/22 11:30
インタビュー中、朗らかな表情を見せる堂安律。その眼力は日本サッカーの主役を奪う意欲に満ちている。
ムバッペ、イ・スンウは意識する。
――2年前にNumberに出てもらった時は、ガンバ大阪のU-23。当時は自分の理想と現実のギャップが大きすぎると言っていましたが、あれから1年、2年でだいぶ追いついてきたのでは?
「まだまだです。いまの理想で言えば、ロシアW杯に出てますよ。実際、オランダであと5点でも取っていれば選ばれていただろうし」
――現在19歳(インタビュー当時)ですが、同年代で意識している選手はいますか?
「ムバッペ。同世代ではダントツですもん。フランス代表の10番ですし、年俸12億ぐらい稼いでるらしい。そういう選手を引きずり下ろせるように、日々練習しているんで」
――個人競技だと顕著ですが、サッカーでも子供時代からライバル関係が続くことは多々ありますよね。堂安選手の場合は?
「ムバッペは接点がないですが、韓国代表のイ・スンウはまさにそうですね。最初は中3だったかな。ガンバでスペイン遠征に行ったときにあいつはバルサにいて、でも僕が点を取って勝ったんですよ。大会MVPが僕で、得点王があいつやったんです。
で高1になったら、あいつは韓国代表でAFC U-16に来ていて、僕は日本代表のキャプテンでした。そのときは独走されて2点決められました。その後、ワールドユースであいつもおれも3点取って。だから1勝1分1敗。でも、あいつはバルサからベローナに行って1点しか取ってないけどA代表でW杯へ。イタリアはレベル高いから、そういう評価なんでしょうね。でもイ・スンウには絶対負けないですよ」
――オランダにも19、20歳のライバルがたくさんいます。
「多いですね。対戦したなかではアヤックスのクライファート(パトリック・クライファートの息子)。たぶんあいつはローマに行きますけど、そのレベルに追いつけたらライバル関係は続きます」
――ビッグクラブへのステップアップが本当に身近ですね。
「すごいなとは思うけど、そんな驚くほどの差は感じないですよ。チームメイトとは、あいつがどこそこ行くらしいでみたいな話をいつもしてます。みんな飢えてるから、飢えすぎてウハウハ聞こえるくらいですよ(笑)」
――では堂安選手自身は、2年目以降はどんな戦略を?
「それが少し難しいところで。いまチャンスがあれば行くべきなのか、それとも半年か1年プレーして、もっと出場機会を確保してから行くべきなのか。僕は来年1月の代表のアジアカップを見ているので、それを考えるとフローニンゲンでプレーするべきなのかもしれない。でも早く違うチームに行って活躍すればもっと世界の視野は広がるし」
――クラブ選びの優先順位は?
「やっぱり自分が一番うまくなるチームです。でも、代表入りするチャンスが近づけば近づくほど、それがよぎってしまうと思うから、いかにシャットアウトして自分の行くべきところにいけるか、挑戦し続けるかというのは大事だなと思います。ただ、いまはまだ考えるもなにも、今年はW杯でヨーロッパの市場が動いてなかったので、ぐわっと選手が入れ替わるのはこれから。
だから最初のキャンプは自分のチームに戻って、キャンプの最中に抜けていく選手がめっちゃ多くなるそうです。どんどん移籍して別のチームのキャンプに移っていく。そこで、あいつが抜けたから堂安を取ろうってなるチームがいくつか出てくれば、もしかしたら」