ロシアW杯PRESSBACK NUMBER
ベルギーの猛攻を守りきり決勝へ。
フランスがついに手にした一体感。
text by
原山裕平Yuhei Harayama
photograph byGetty Images
posted2018/07/11 17:00
フランス代表といえば内紛のイメージも強いが、今大会は全くの無縁。才能たちが完全な一枚岩になっている。
アザールが軸となり、グリーズマンが攻勢を導く。
34分にはアントワン・グリーズマンのフィードに反応したキリアン・ムバッペが右サイドから絶好のクロスを供給。これはジルーが合わせ損なうも、40分には果敢なオーバーラップを敢行したベンジャミン・パバールが、ムバッペのスルーパスに抜け出して決定的なシュートを放つ。
ティボー・クルトワの好セーブに阻まれゴールはならなかったものの、流れは着実にフランスに傾いていた。
そうした展開の中、フランスに歓喜をもたらしたのは、ウルグアイ戦と同じセットプレーだった。グリーズマンのキックをサミュエル・ウムティティがニアサイドで合わせる。伏兵の一撃が結果的にこの試合を決定づけた。
ベルギーの攻撃軸を担ったのがE・アザールなら、フランスの攻勢を導いたのはグリーズマンである。神出鬼没な位置取りで中央、サイドと様々なエリアに顔を出し、中盤と前線のつなぎ役を担う。
正確なプレースキックもフランスの大きな武器となっており、これで2試合連続のアシストである。2年前のEUROで得点王に輝いたストライカーは、今大会ではムバッペに主役の座を譲りながら、決定的チャンスを生み出す名脇役として、フランスの躍進を牽引している。
ベルギーにトドメを刺し損ねたジルー。
リードを奪ったフランスは、その後も一気呵成にベルギーを押し込んだ。ムバッペのトリッキーなパスからチャンスを迎えたジルーに決定力が備わっていれば、ベルギーにとどめを刺すことができていただろう。
九死に一生を得たベルギーは、60分に守備的なムサ・デンベレに代えてドリース・メルテンスを投入。この小柄なアタッカーが右サイドから好機を作り出すと、流れは再びベルギーへと渡っていく。