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ベルギーの猛攻を守りきり決勝へ。
フランスがついに手にした一体感。
text by
原山裕平Yuhei Harayama
photograph byGetty Images
posted2018/07/11 17:00
フランス代表といえば内紛のイメージも強いが、今大会は全くの無縁。才能たちが完全な一枚岩になっている。
1人もさぼらず守り続けたフランス。
ところが、ここからフランスは完全な守備モードへとシフトする。人海戦術でゴール前を固め、赤いユニホームをゴール前に近づけない。ウムティティとラファエル・バランの2人のCBだけなく、ポグバもエリア内でクロスを跳ね返し続ける。
FWジルーも懸命に自陣深くまで戻って応対し、ベルギーの攻め手を排除した。時折E・アザールの突破に苦しんだものの、「守る」と割り切って築かれたレ・ブルーの堅牢は、最後まで破綻することはなかった。
ムバッペ、グリーズマン、ポグバと各所にきらりと光る個性を備えながらも、今大会のフランスの躍進の要因は、ひとつの目的に向かって一枚岩となる強固な組織力にある。この試合も、たった1人でも隙を見せれば赤い悪魔の猛攻に飲み込まれる危険性があった。
しかし、全員がさぼることなく保ち続けた献身こそが、フランスをファイナルへと導く最大の原動力となったのだ。
20年ぶりの頂点へ――。フランス国民が抱くその夢が、いよいよ現実のものとなりつつある。
ベルギーの戦いもまた勇敢だった。
一方、ベルギーの健闘も称賛すべきだろう。とりわけ決勝トーナメントに入ってからの戦いは勇敢だった。日本戦での圧巻の逆転勝利、ブラジルに引導を渡した快勝劇と、ワールドクラスを多数擁した彼らは、優勝候補に恥じない戦いを見せつけた。
もっとも、フランスにはその勢いも通じなかった。頼みのルカクは沈黙し、守りを固める相手に持ち前のカウンターを仕掛けられなかった。日本やブラジル相手にはストロングポイントとなっていた高さの部分でも、同等の体格を備えたフランスには脅威とは成り得なかった。
黄金世代の集大成と位置付けられたこの大会で、ベルギーの歴史を塗り替えることは叶わなかった。