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「コメディ」のち「最高のセーブ」。
川島永嗣への批判は適切ではない!
text by
岩崎龍一Ryuichi Iwasaki
photograph byGetty Images
posted2018/07/10 10:30
川島永嗣の「止めてくれそう」な雰囲気は、率直に言って他のGKにはないものだ。それはオーラとも呼べる存在感である。
ワンハンドで止めたヘディング。
決勝トーナメント進出を懸けたポーランド戦。西野朗監督は海外メディアからも批判の多かった川島を、前日の記者会見に登壇させた。それは第3戦の先発も川島でかわらないことを意味した。
「前の試合ではチームメイトに助けられたので、明日は自分がチームを助けたい」
その「明日」となった6月28日のポーランド戦。グループリーグで初めての敗戦となった試合で川島は、最高のプレーでグループリーグ突破という結果をもたらした。
32分にカミル・グロシツキにフリーで放たれたヘディングシュート。これに対し川島は右にワンステップ踏むと、目標物に向かって一分の無駄もないダイブから右手一本でこれをかき出した。
直径22cmのボールは、幅12cmのゴールラインを半分以上越えていた。しかしボールが完全にラインを越えないとゴールにはならない。コロンビア戦の失点と、このスーパーセーブの差は、わずかに数10cm。両手でいったコロンビア戦との違いは、より伸びのある遠くまで届くワンハンドを選択したことだった。
BBCが「今大会最高のセーブ」と評したプレー。
「コメディ・オブ・エラーズ」
FIFA公式サイトで、このように揶揄された川島に対し英国の公共放送BBCは、グループリーグを終えた時点で、このプレーを「今大会最高のセーブ」と評した。
コロンビア戦、セネガル戦のミスを仲間にカバーされ、そしてポーランド戦では自らがチームを救った。ポーランド戦後に川島は、こう語った。
「自分が1人で戦っているんじゃないのが大きかったです」
結果としては悔いの残る試合になってしまったベルギー戦。ベスト8に手が届きかけていた。その中で86分に川島が見せたファインセーブは、彼の真骨頂といえた。
ナセル・シャドリ、ロメル・ルカクによる2連続のヘディングシュートを、連続して弾き出した反応の早さだ。日本代表の練習を見ていても気づくが、一度体勢を崩した後のセカンドボールに関しての復元力で、川島は群を抜くのだ。