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柴崎岳はどこまでも満足しない男。
「世界のトップに入れる日のため」 

text by

寺野典子

寺野典子Noriko Terano

PROFILE

photograph byTakuya Sugiyama/JMPA

posted2018/07/02 12:15

柴崎岳はどこまでも満足しない男。「世界のトップに入れる日のため」<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama/JMPA

ロシアW杯で存在感を高めた選手の1人である柴崎岳。しかし向上心の塊のような男は、ここで満足感を覚えることはない。

中盤の支配権を手繰り寄せたい。

「決勝トーナメントで自分自身がどう成長していくのか、サッカー選手としての成長を何が促してくれるのかは予想がつかない。過去の実績に関係なく、やっぱりベルギーは世界のなかでもトップのチーム。個性派の集団でみんなが知っている選手が何人もいる国。

 個人的にはそういう相手と試合ができることに強いモチベーションを感じています。そういう彼らと対等にやること、もしくは上回ることを目標に海外に出ました。だから、ベルギー戦は今までの自分を示す場所なのかなと思っています。 

 具体的にはマッチアップする選手に負けないことは必要だと思います。僕のポジションであればミッドフィルダーの選手になる。中盤での支配権を日本側にできる限り手繰り寄せる作業、プレーをすること。それが日本にとっていい流れを引き寄せることになるかと思います」

世界のトップに入れる日が来るように。

 過去の3試合同様に、自身のプレーが試合を左右するという自覚がその言葉には込められていた。そして世界のトッププレーヤーと対戦し、「どこまで、何ができるのか?」という自分への期待も感じられる。

「日本として、近年のなかではいいパフォーマンスを出しているにもかかわらず、最後までもつれ、突破が難しい状況まで陥ってしまったのは、W杯のレベルの高さを示していると思います。同時にそれでもグループステージを突破できたことは日本の力、現在ある力を示せていると思う。

 でも、僕のなかではグループステージ突破は最低限のノルマだったので、そんなに喜びを感じることはなかった。本当に満足した気持ちもない。日本代表として世界のトップに対して成長を続け、日本が世界のトップに入れる日が来るように、歴史の一部になれればいいかなと思っています」

 キックオフ直前、円陣が解かれ、選手たちはそれぞれのスタートポジションへ散る。柴崎がそっと胸のエンブレムに手をやる。

 ポーランド戦で目にしたそんな光景からは、彼が秘めた熱が伝わってきた。日の丸を背負い、「今」と全力で立ち向かう覚悟だ。

 未来を夢見ることも、描くことも重要だ。けれど、それを形作るのは、「今」の積み重ねでしかない。ベスト8進出という新しい歴史のページを開く重要な一戦で、柴崎がどんな体験をするのか?

 その「今」が柴崎と日本代表の未来へ繋がっていく。

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