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柴崎岳はどこまでも満足しない男。
「世界のトップに入れる日のため」
posted2018/07/02 12:15
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph by
Takuya Sugiyama/JMPA
「今は試合に出ていないかもしれないけれど、Jリーグのスカウト陣がほれ込んだ選手ですよ。なのに、高卒の段階でJクラブの選考から漏れた大学生を選ぶのは、信じられない。まあ、数年後大きな差が出るとは思いますけどね」
2011年、ロンドン五輪アジア予選を戦うU-22代表チームから柴崎岳が漏れたとき、柴崎が所属していた鹿島アントラーズではない、あるJクラブ幹部が怒りをにじませながら語ったことを今でも強く覚えている。
Jリーグの多くのクラブが、柴崎が秘めたポテンシャルを高く評価していたことの証だ。
確かにプロ1年目の出場機会はわずかだったが、翌'12年には鹿島の主力として、ナビスコカップで優勝し、MVPを受賞。Jリーグベストヤングプレーヤー賞も手にし、飛躍を遂げた。その授賞式となるJリーグアウォーズでのスピーチは話題を呼んだ。
「この賞に値する選手は、今年は0人でした。世界的に見れば同世代には、ミランのエルシャーラウィ(現ローマ)、レアルの(ラファエル・)バラン、サントスのネイマール(現パリ・サンジェルマン)。彼らのような活躍ができた選手がいるかといえば、そうではありません。彼らに一歩でも近づき、日本を代表する選手になっていかなければ世界と戦えないと思います」
「大会中に成長できている実感を得ている」
しかし、柴崎は'12年のロンドン五輪のメンバーにも入れなかった。A代表に招集されても怪我や体調不良などでチャンスをものにできず、海外移籍もなかなか実現しなかった。それでも'16年、クラブW杯決勝のレアル・マドリー戦で2ゴールを決めて、'17年にスペインへ渡った。
そして、W杯ロシア大会。柴崎岳はグループリーグすべての試合に先発出場し、日本代表の心臓と言っても過言ではない活躍を見せている。
「こういう大きい舞台は、常に自分を成長させてくれる場所だと感じている。本当のトップの戦いとなる大会で、試合に出ることで得られる経験も、自信もそうですし、W杯が始まる前より、自分自身が大会中に成長できている実感を得ている。改めてW杯という舞台で戦えることに感謝というか、いろいろな気持ちを感じているところですね」