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柴崎岳はどこまでも満足しない男。
「世界のトップに入れる日のため」 

text by

寺野典子

寺野典子Noriko Terano

PROFILE

photograph byTakuya Sugiyama/JMPA

posted2018/07/02 12:15

柴崎岳はどこまでも満足しない男。「世界のトップに入れる日のため」<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama/JMPA

ロシアW杯で存在感を高めた選手の1人である柴崎岳。しかし向上心の塊のような男は、ここで満足感を覚えることはない。

セネガル戦も「納得できていない」。

 グループリーグ3戦を終えたあと、柴崎は何度も「成長」という言葉で、その大会について語った。

 そのパスセンスと精度で攻撃に緩急を生みだし、前線の選手をコントロールする。セネガル戦の乾貴士のゴールを生み出した長友佑都へのパスは、日本の連動性を象徴するような1本だった。このシーン以外にもセネガル戦では、ゴールにはならなかったが得点機を何度も生み出した。

「自分に対して、もっとできるだろうという気持ちの方が強いので、今日のパフォーマンスに対して、納得できていない気持ちの方が強いです。僕から前、前線の選手の連係は良くなってきている。相手が前から来たとき、僕とディフェンスラインの中で、どうやって良い形で受けるのかという連係の部分では、さらに改善の余地があると思っている」

プレーをすぐ整理できるクレバーさ。

 試合直後のミックスゾーンでは、「映像を見てみないとわからない」と自身のプレーを語らない選手もいる。しかし、セネガル戦後の柴崎は冷静に自身のプレーを分析した。

「守備の部分では相手に対して、後手を踏んでしまったところがあります。2失点目がそうですけど、相手のスピードやフィジカル的な能力をリスペクトしすぎたというか。警戒しすぎて距離を多少空けて、前を向かせてしまった。そこは自分自身の反省点。ああいった身体能力の高い相手に対して、さらにいい対応をしていきたい。ある種の良い勉強になったと思っています」

 自身のプレーを整理できているからこそ、課題の原因を言語化できる。短時間でその作業に向き合えるのも選手として求められる能力だろう。そういうクレバーさが柴崎にはある。

 だからこそ、クラブW杯やリーガ・エスパニョーラ、そしてW杯のようなレベルの高いステージ、環境に身を置くことで、成長の速度が加速するのだ。出場時間を重ねることで、彼のプレーは研ぎ澄まされている。

「自分のなかでも集中力と注意力が研ぎ澄まされている、という表現が的を射ていると思います。試合中に成長できている部分も、そういったところから来ている。それは世界最高峰の戦いでしか、経験できないことだと思いますし、今、自分自身にとっていい刺激を受けているところだと思います」

【次ページ】 W杯前後で変わった自らの立ち位置。

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