プレミアリーグの時間BACK NUMBER
W杯初戦2発でイングランド国宝に!?
ケインは家族とファンに優しい男。
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byGetty Images
posted2018/06/24 09:00
チュニジア相手に2ゴールを奪い取ったケイン。今やイングランドが誇るスーパーエースだ。
タトゥーもしてない“ファミリーマン”。
国宝扱いの背景には、ロールモデル的な存在感もあるに違いない。
ケインは、派手なライフスタイルが当然の昨今のフットボーラーには珍しく、素朴なスターだ。7月28日で25歳とまだ若いが、今秋には第2子誕生が予定されている“ファミリーマン”で、タトゥーもしていない。
口煩い記者に対しても礼儀正しく、ファンのために2時間もサインや“セルフィー”のリクエストに応え続ける好青年として知られている。小学生時代には、2004年の欧州選手権でPK戦の末に敗れた母国代表の姿で涙したというエピソードが物語るように、愛国心を持ち合わせている。
ただ、ワールドクラスとの称賛には、まだ首を傾げる。プレミアリーグを世界最強と自負するイングランドの人々は、国産選手を世界のトップクラスと同一視したがるのだ。
本人はチュニジア戦の前に「(ワールドクラスの)仲間入りをしたい」と語っていたように地に足がついているが、「現代表で貴重なワールドクラス」と見る向きも多い。ちなみにケインの1歳下で、代表では2年半以上も得点のないラヒーム・スターリングを「もう1人のワールドクラス」と持ち上げる国内紙もある。
プレミアで150試合108得点の実力派。
ケインがプレミア屈指のストライカーであることに疑いの余地はない。トッテナムでのリーグ戦得点数は、150試合108得点。彼が稀有なタレントであることは、1年目の2014-15シーズンから明らかだった。
代表でも、25キャップ目のチュニジア戦で通算15点目。代表20試合目で同じゴール数を記録したリネカーに次ぐハイペースでゴールを重ねている。
ヘディングで決めた勝ち越し点は、あえてボールの落下地点から離れてファーポストに動いた感覚と冷静さが光った。外せば勝点2を落としかねないラストチャンスで決めたフィニッシュも、非常にクオリティが高かった。