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頸髄損傷を乗り越え皆で富士山頂へ。
慶大ラグビー部員たちの固い絆。
text by
多羅正崇Masataka Tara
photograph byMasataka Tara
posted2018/06/08 10:30
(左から)村田毅、杉田秀之、小澤直輝。富士登山に向けて杉田さんがトレーニングを積む「竹田塾」にて。
早慶戦前にはモチベーションビデオを。
杉田さんはそんな仲間との大学ラストシーズンで、おもに分析を担当。2000年以来10年ぶりに勝利した早稲田大学との伝統の一戦「早慶戦」の前には、徹夜でモチベーションビデオを作成したこともあった。
杉田さんは2012年に大学を卒業し、新卒で外資系金融会社のゴールドマン・サックスに就職した。
現在も四肢に麻痺は残り、長時間の歩行では杖が必要になるが、投資信託の設定・管理業務などに携わり、忙しい日々を過ごしている。
そんな杉田さんの活躍を知るからこそ、無遠慮な慶大ラグビー部の同期たちは、結婚式などで会うたびに杉田さんをせっついてきた。
「いつ富士山登んの?」
「みんな待ってんだけど」
今年2月、慶大同期の結婚式に参加した杉田さんは、ついに仲間の前で富士登山を決意した。
歩けるようになったら、富士山に登る。
今年3月から本格的にトレーニングを始め、慶大同期の村田が「富士登山計画」をSNSで発信すると、2007年度の部員から大きな反響があった。
「杉田が歩けるようになったら、みんなで富士山に登る――やっぱり、それはみんなの頭のどこかにずっとあったんですよね」(村田)
現在、杉田さんたちはミーティングを重ね、登山参加者は2007年度の4学年に限ることなどの認識を共有し、来年夏へ向けて準備を進めている。
杉田さんは言う。
「ラグビー部のみんなが支えてくれたから頑張ろうと思えたし、彼らのおかげで今も頑張ることができています。良い仲間、良い指導者、良い組織とラグビーができた。それが僕の財産です」