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2冠達成に王手の千葉ジェッツ。
1年前の教訓から、言い合いせずに。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byB.LEAGUE
posted2018/05/25 16:30
琉球との2戦目では9得点と、PG富樫に次ぐ7アシストを記録した小野。キャプテンとしてチームをけん引する。
優勝するためには何でもやるつもり。
CSクォーターファイナル・川崎ブレイブサンダース戦でのこと。パーカーはGAME2で力を出し切れなかった富樫やライオンズに対して、GAME3に向けて気持ちを切り替え、全力を注ぐ用意をするように声をかけた。
彼はbjリーグ時代に得点王に輝き、NBLでもベスト5に選出された。また今季はレギュラーシーズンでスティール王にも輝いたほどの実績の持ち主だ。
しかし、今のモチベーションについてはこう語っている。
「個人タイトルはたくさん獲ってきたからね。今の自分が望んでいるものは、チームで優勝すること。チームが優勝するために自分にできることがあるならば、何でもやるつもりさ」
セミファイナルのGAME2に話を戻そう。3Qだけで5回の逆転ゴールを決められるほどの一進一退が続き、1点ビハインドで4Qを迎えた。開始早々に琉球のハッサン・マーティンに2本のフリースローを決められて3点のビハインドを負ったが、千葉に焦りはなかった。
西村のゲームメイク、小野のポストアップ。
ゲームをコントロールしたのは、3Q終盤からからポイントガードに入った西村文男だった。彼は1月に優勝した天皇杯のベスト5にも選ばれたほどの実力を持つ。それまでの状況を踏まえて、ボールを動かしながら相手の守備をゆさぶる攻撃を仕掛けていった。
「文男がしっかりボールを散らしてくれました」
大野HCが信頼を寄せる西村は、得たフリースローを2本とも沈めて逆転する。こうなると、流れは千葉に傾いていく。すると、シーズンを通して攻撃の核だったものの、CSでは見られなかったプレーもついに出た。
キャプテンの小野龍猛のポストアップだ。
リング近くで相手を背負いボールを受けて、攻撃を仕掛ける。ボールが相手のゴール近くにあれば攻撃の選択肢は広がるだけに、千葉にとっては大きな形だった。琉球の佐々宜央HCも「日本人の中でも屈指のレベルにある」と語った通り、琉球の脅威となった。
4Q2分31秒の時点で、その小野がフリースローを2本とも決める。さらに4分52秒にも小野がポストアップから決めた。琉球はたまらずタイムアウトをとったが、千葉はもう手がつけられない状態になっていた。