Overseas ReportBACK NUMBER
どこまでも“気づかいの人”大谷翔平。
全米が夢中になった振る舞いって?
text by
及川彩子Ayako Oikawa
photograph byUSA TODAY Sports/REUTERS/AFLO
posted2018/05/21 17:00
米国でも日本にいた時と変わらぬ振る舞いの大谷翔平。この屈託のない笑顔こそ、万国共通の「愛される理由」だろう。
敵選手にまで誉められる、大谷の振る舞い。
4月のある試合のこと、ホームに戻ってきた大谷が、相手チームの捕手のキャッチャーマスクが転がっているのをみつけ、マスクについた土を払って渡した。
「砂を払って渡すなんて、なんていいやつなんだ」
そんな声がエンゼルスのファンから上がった。
本当に何気ない1コマだけど、大谷選手らしい行動だった。だが、エンゼルスや大谷ファンには好意的に見えることも、点を取られた相手側がイラっと感じ、「余計なことをする嫌なやつ」と思われる可能性があることは否定できない。
だが大谷選手の強みは、そういった一連の行動を嫌味なく、さらりと行えることだろう。
幼い頃から野球だけではなく、普段の生活で普通にしていることを、メジャーの舞台で行っただけなのだろう。相手を見下したり、点を取って調子に乗っているような態度が少しでもあれば、相手チームに嫌われる。
しかし、「土がついてたんで、払っておきました!! はい!」というような感じでまっすぐな笑顔とともに渡されたら、相手にはネガティブな感情は生まれにくいだろう。
大谷選手自身は特別意識もしていないはずだ。
ご両親、そしてこれまでの指導者たちから教わったことを素直に聞き、ごく自然に行ってきたことなのだから。
ベンチの汚さはメジャーリーグ名物!?
メジャーリーグ取材で驚くことの1つに試合後のベンチの汚さ、がある。
壊滅的に汚い……と言ったら言葉が悪いけれど、濡れたコンクリートにひまわりの種の殻がべったりと張り付いていたり、カップやペットボトルが散乱していて、足を踏み入れるのはなかなか勇気がいる。