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キンカメ勝利で、さんまさん土下座!?
杉本×草野×井崎のダービー裏話。
text by
薦田岳史(Number編集部)Takeshi Komoda
photograph byTakashi Shimizu
posted2018/05/22 08:00
(左から)杉本清、草野仁、井崎脩五郎のお三方が、日本ダービー裏話を明かしてくれた!
「南の島の大王みたいな名前の馬が……」
杉本 これにはちょっとしたエピソードがありましてね。ダービー前に明石家さんまさんと雑誌の企画で対談をしたんです。さんまさんが「ブライアンは強いの」と聞くから、「めちゃくちゃ強い」と。「本命か?」と聞くので「そんな人気の馬に本命はつけない、スギノブルボンです」と答えた。そしたらさんまさんが「そんな馬出てた?」。
それ以来、毎週金曜日にさんまさんの事務所に僕が電話して、今週の重賞はどの馬にするか、お互いの推す馬の後先(どちらの推した馬が先着するかを競うこと)をするようになったんです。でも、私もさんまさんも意地を張って、人気の馬は絶対に本命にはしないんです。
井崎 それからもう20年以上になるわけですね。
杉本 ええ。さんまさんとはこんなこともありました。'04年、キングカメハメハがレコードでダービーを制した時です。ダービーの前に、さんまさんに今年はこの馬ですよと言ったんです。そしたら「そんな南の島の大王みたいな名前の馬が勝つか、勝ったら頭下げたるわ」というんですよ。さんまさんの本命はコスモバルクだったんだけど。
井崎 僕も本命はコスモバルクでしたよ。キングカメハメハは皐月賞はコースが合わないと回避してNHKマイルに向かった。そんな弱気じゃどうかなあと。
芝生の上に正座して「ごめん」。
杉本 でも結局キンカメがダービーを勝っちゃってね。当時さんまさんがJRAのCMをやっていた関係で、表彰式のプレゼンターもやったんだけど、勝利ジョッキーの安藤勝己さんに横を向いてカップを渡した(笑)。それで、セレモニーが終わった後にさんまさんがどっと僕の前に駆けてきて、芝生の上に正座して「ごめん」って謝ったんですよ。みんな唖然としてね、何が起きたかわからず私の周りにいたカメラマンもあっけにとられて誰もシャッターを切りませんでした。
草野 そんなことがあったんですか。キンカメから1年戻りますが、'03年にダービーを勝ったネオユニヴァースには、私にも思い出がありまして。その年私がすごく尊敬していたある財界人が肝臓がんで国立がん研究センターに入ったんです。競馬好きな方だったので、ネオユニヴァースの単勝を10万円買って、勝った金額をお見舞い金に差し上げようと。
「勝ちました、おめでとうございます」と届けましたら喜んでくださいまして。結局お亡くなりになりましたけど、一時でも気持ちをよくしていただくことに役立ったのかなと思いますね。