野球のぼせもんBACK NUMBER
焦りと力みにハマる2000本安打地獄。
仕掛け人・川島慶三が内川聖一を救う。
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byKyodo News
posted2018/05/09 11:15
5月1日の出来事……サイレントトリートメントの後、チームメイトから熱い祝福を受ける内川。
5月1日。チームメイトとの心温まるシーンを見た。
とはいえ、苦闘し続ける4番・キャプテンの姿を見続けるのは本当につらいものだ。
ホークスのチームメイトたちは、ファンやメディアの我々より当然ながらもっと身近で感じている。だから彼らも心のどこかで一緒に“数字”と戦い、ともに胸を痛めていたのだろう。
5月1日、千葉のZOZOマリンスタジアム。
ちょっと心温まるシーンに出会えた。
4回表、内川はマリーンズ石川歩投手の直球を迷わず振り抜くと、打球はホークスファンの待つ左翼スタンドへと飛び込んだ。前日の京セラドームでようやく放った今季1号に続く、2試合連続の2号アーチだ。
ここで仲間たちがひと芝居打った。
大谷翔平も驚いた、あのベンチの情景が……。
ベースを1周して戻ってきた内川を、みんなで“無視”した。
歓喜の出迎えもあごタッチもなく内川も所在なげに自分の定位置に腰掛けた。しんと静まるダグアウト。だが、その次の瞬間、満面笑顔のチームメイトやスタッフが内川のもとへどっと駆け寄ってきたのだ。
エンゼルスの大谷翔平がメジャー初本塁打を放った際に話題となった“サイレント・トリートメント”のホークス版だ。
大リーガーのようにずっとクールに振る舞っていられないのが、いかにもお祭り好きのホークスナインだ。まるでサヨナラの一発を放ったかのような大騒ぎだった。
これに味を占めたナインはこのイニングに松田宣浩が一発を放った際にも再現。それを素通りして「熱男~!」を決めた元気者も「5月はコレでいこうかな。異常に盛り上がった」と興奮していた。