マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
清宮幸太郎の「左ヒジ」が気になる。
才能がある者だけに許された構え。
posted2018/05/08 08:00
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
Kyodo News
日本ハム・清宮幸太郎選手が、このゴールデンウィークから一軍に合流した。
“昇格”と書かないのは理由がある。清宮選手はファームの公式戦で圧倒的な成績をあげたわけではないが、「日本ハム」というチーム独特の育成プログラムの中に、一軍戦力の兆しが見えた若手、新人選手には早い時期に一軍の実戦を体感させて、さらなるモチベーションにしてもらう、という考え方があるからだ。
ある意味、一般の企業にもあるような「現場体験実習」としての一軍と考えて“昇格”はふさわしくないと考えた。
4月後半、イースタンリーグの実戦で、清宮選手は持ち前のスラッガーの資質の片鱗を見せ始めていた。
5試合4アーチ。
「いやあ、さすが清宮、出てきましたね~」と盛り上がる声も何度か聞こえてきたが、そのたびに「こんなもんじゃない、まだまだこれから……」と内心つぶやいてきたものだ。
ホームランとアベレージの素質を兼備。
確かに1試合に1本放り込んだかもしれないが、清宮幸太郎の「爆発力」はこんなもんじゃない。ファームなら1試合で長打、シングルとり混ぜて、3本4本打ったってぜんぜんおかしくない。
彼の本領は、もちろんパワーもそうだが、それ以上にタイミングとバットコントロールの上手さ。つまり「技術」だ。
清宮幸太郎とは、ホームランバッターの資質もさることながら、稀代の「アベレージヒッター」の素質を兼備した天才打者であることは、彼が早稲田実業の頃からずっと感じてきたことだ。