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今年すでに重賞4勝、GIは初勝利。
NHKマイル制覇は藤岡佑介の転機だ。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byYuji Takahashi
posted2018/05/07 11:50
藤岡佑介騎手は土曜日に京都新聞杯を勝ち、日曜日にNHKマイルでGI初勝利を手にした。これがキャリアの転機になる雰囲気もある。
直線で鞭を持ち替え、進路を修正。
初コンビを組む予定だった武豊が騎乗停止になったことで巡ってきたチャンスだった。
レース週の本追い切りで、初めてその背に跨った。
「コントロールしやすく、長くいい脚を使えるので、広いコースのほうがいいと思う」と話していたとおり、馬にとって初経験だった東京適性はむしろ高いと見て、長い直線で持ち味を生かし切った。
「馬が気力で頑張ってくれた。感謝しかありません。まだまだ可能性がある馬ですし、距離が延びてもよさそうです。GIを勝つのにふさわしい走りをしてくれました」
謙虚に語るが、直線で内に刺さりそうになるとすぐさま鞭を左に持ち替え、手綱の操作で進路を修正しながら追うなど、高い騎乗技術で勝利をもぎ取った。
勝ちタイムは1分32秒8。首差の2着は2番人気のギベオン、3着は9番人気のレッドヴェイロンだった。
藤岡の同期は川田将雅など。
藤岡佑介は、1986年生まれの32歳。父・健一は栗東に厩舎を構える調教師だ。ビッグアーサーで高松宮記念、ジュエラーで桜花賞などを勝っている。3歳下の弟・康太は騎手で、デビュー3年目の2009年にジョーカプチーノでNHKマイルカップを勝ち、兄より先にGI初制覇を遂げている。
佑介の話に戻るが、騎手デビューは'04年3月。同期に川田将雅、吉田隼人らがいる。その年35勝を挙げ、JRA賞最多勝利新人騎手(新人賞)を獲得。翌年1月の京都牝馬ステークスで重賞初勝利を挙げている。
当時師事していた作田誠二調教師は、藤岡に関して、騎手候補生だったころから技術面もメンタル面もしっかりしており、デビューしたら相当勝つだろうと思っていた、と話している。
JRA重賞は、前日ステイフーリッシュで制した京都新聞杯を含め、これが29勝目。'10年のJBCスプリント、'12年の全日本2歳優駿など交流GIの優勝経験はあったが、JRA・GIは86戦目での初勝利だった。