ROAD TO THE DERBY 2018BACK NUMBER
父はダービー2勝の偉大なジョッキー。
大竹正博と相棒ブラストワンピース。
posted2018/05/09 07:00
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph by
Yuji Takahashi
「ダービーに出せるのは光栄です」
調教師・大竹正博はそう語る。彼が送り込むのはブラストワンピース。ダービーに対する特別な想いを、明らかにしてくれた。
大竹がブラストワンピースを初めてみたのはまだ1歳の時。ノーザンファームでみた同馬は「ヒョロッとして、それほど見栄えのする馬ではなかった」。
しかし、2歳の夏に印象がガラリと変わった。
「『え?!』と思うほど肉の付き方が変わってきました。体重も一気に増えて牧場での評価も良くなっていきました」
そこでまずは函館競馬場に入れた。調教をすると……。
「気持ちが先走って力んで走っていました。脚元も考えて大事にダートを使った方が良いのかとも思いました」
ゲート試験に合格すると、一旦、放牧に出した。
「秋に美浦トレセンに入れるとゆったり走れるようになっていました」
先述した通り、ダートも視野に入れて調教を進めた。
「でも脚元は問題なさそうだったので、ならば芝でおろそうということになりました。ただ、まだ成長の余地があったので、正直『一度使ってからかな……』という気持ちでした」
「このまま終わるのかな」
デビューは昨年11月19日の東京芝1800m。同日に京都でGIのマイルチャンピオンシップがあったため、騎手を探すのに苦労したが、池添謙一が東上することを聞き、依頼した。
「彼はレース前、言葉数が少なくなるタイプです。それで集中しているのだと思うので、邪魔しないように指示は出さず、任せました」
5番人気となった新馬戦。ゲートが開くと好スタートから好位に控えた。インで少し行きたがる素振り。直線では前が壁になった。
「このまま終わるのかなって思いました」と大竹。
しかし、早目に外へいざなった池添の判断が良かった。外で進路が開け、追うと一気に反応。上がり33秒3の脚で差し切ってみせた。
「まさかあんな脚を使うとは思わなかったので驚きました。謙一も驚いたようで、レース後の彼のテンションの高さはレース前の静かさからは想像できないほどでした」