“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
3度の前十字靭帯断裂負った選手の物語。
札幌・深井一希の驚くべき「不屈の魂」。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2018/04/30 09:00
今季ここまでは好調の深井一希。フルシーズンを怪我なく走り抜けることが目標となる。
手術直後で欧州に来た深井に驚いた南野。
スペインで刺激を得た後、彼はオーストリアのザルツブルクに向い、同い年の親友である南野拓実(レッドブル・ザルツブルク)に会いに行った。
「いずれは僕も海外でやりたいと思っているので、拓実の向こうでの生活を体験したかったし、ゆっくりと話を聞きたかった。手術して2週間後にヨーロッパまで来た僕に驚いていたけどね(笑)。
凄く深い話ができたし、やっぱりヨーロッパはサッカーに打ち込める環境だと思った。さらに刺激を受けました」
リハビリ、そしていきなりのスタメン復帰。
帰国後、彼はリハビリに打ち込んだ。
そして今年1月、沖縄キャンプで復帰を果たすと、浦和レッズとの練習試合で実に300日ぶりの実戦復帰。ペトロヴィッチ新監督の下、リーグ戦での開幕スタメンを果たすと、第5節の鹿島アントラーズ戦までボランチのレギュラーを張り続けた。
鹿島戦後の練習で左膝に痛みを覚えると、「復帰したばかりで多少膝にリバウンドの痛みがくることは分かっていた。ちょっと強い痛みだったので、『これは少し休ませた方がいい』と判断した」と、すぐに練習を切り上げドクターに診てもらったという。
結果は単なる半月板の炎症。
過密日程であることも加味して、3節休んだ後、J1第9節の浦和戦で4試合ぶりのスタメン復帰を果たした。
「2週間ほとんど練習をしていなかったのに、監督は僕を先発で使ってくれた。その期待に応えたいと思ったし、選手入場のとき埼玉スタジアムの大観衆に包まれると、『試合に出られるというのは、こんなにも素晴らしい景色が見られるということなんだ』と、感謝の気持ちがこみ上げてきましたね」