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ビエルサも魅了、天才アイマール。
W杯でアルゼンチン代表をサポート。
text by
藤坂ガルシア千鶴Chizuru de Garcia
photograph byGetty Images
posted2018/04/30 11:30
童顔にひげを蓄えたアイマール。メッシら擁するアルゼンチンを栄光に導けるか。
リーベルでの2度目のキャリアは厳しくも。
とはいえ試合後、感動しながらも冷静に「自分のコンディションが100%でないことはよく分かっているし、リーベルほどのビッグクラブで継続的にプレーするためには、このままではいけないことも分かっている」と語ったとおり、リーベルにおける2度目のキャリアは厳しいものになった。
チームメイト、クラブ関係者、もちろんサポーターからも敬愛されてはいたが、リーグ戦とカップ戦に耐えうるコンディションは、最後まで取り戻せなかった。
そして7月、コパ・リベルタドーレスの登録メンバーから外れたことを知ると、迷わず退団を決意。結局、出場はロサリオ・セントラル戦の1試合のみだった。ところが、自分を外したマルセロ・ガジャルド監督に対する不満は一切口にせず、モヌメンタルでリーグ戦に参加するチャンスを与えてくれたことに感謝の意を表わしたのである。
サッカー小説を執筆、解説も的確だった。
その後、アイマールはしばらく公の場から姿を消した。だが、リーベル退団から半年、再びその名前が聞かれるようになる。
フアン・パブロ・ソリン、ホルヘ・バルダーノ、ハビエル・マスチェラーノといった現役、元選手、監督ら総勢23名によって書かれたオムニバス形式のサッカー小説「Pelota de Papel(紙のボール)」に、執筆陣の1人として「El Maracana de la calle Espana(スペイン通りのマラカナン)」という名のショートストーリーを寄稿したのがきっかけだった。
時をほぼ同じくして、スポーツ専門局ESPNにおいてチャンピオンズリーグの解説も務めた。小説家として、さらには解説者として、サッカーを語る際の語彙の豊富さを初めて披露した。
現役時代、バレンシアへ移籍するまでは「無口で恥ずかしがり屋」だったが、十数年に及ぶ海外生活を経て、的確な言葉で自身の体験を語り、試合を分析し、独自の見解を分かりやすく伝えるスキルを習得していたのである。