草茂みベースボールの道白しBACK NUMBER
その瞬間、竜も虎も1つになった。
「松坂の22球」が起こした奇跡とは。
text by
小西斗真Toma Konishi
photograph byKyodo News
posted2018/04/26 07:00
7回2死満塁のピンチで代打・上本を三振に取り、ガッツポーズ。ただ、打線が3安打で1点しか奪えず、今シーズン2敗目を喫した。
「いっぱい、いっぱいではない」
話を上本との勝負に戻そう。声援を背に投じた137キロでファウルを打たせ、平行カウントに戻した5球目。外角に逃げていく134キロのカットボールを、上本に振らせた。
正直、筆者は打たれる気がしなかった。「松坂の22球」はハラハラさせ、スタンド全体のガッツポーズで幕を閉じた。
「球数はシーズンに入ってから、試合の中で増やせればと思っていたんですが、いっぱい、いっぱいという感じではなかったんですよね」
ちなみに7回終了後は森繁和監督が直接、松坂に歩み寄り降板を告げている。了解しつつも余力を感じていたという松坂。「タフ・ロス」という言葉には周囲からの同情だったり、不運を嘆くニュアンスが込められていると思うが、松坂にとっては悔しさと手応えをつかみとれる有意義な敗北だった。
次回は30日のDeNA戦(ナゴヤドーム)。機動力、破壊力ともにAクラスの難敵を相手に、どんな投球を見せてくれるのか。楽しみが尽きない投手だ。