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日本がワールドグループ2部復帰!
3カ国代表・大坂なおみのスケール感。
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph byGetty Images
posted2018/04/25 11:00
他の女子選手と比べるとその高身長ぶりが分かる大坂なおみ。日本で女子テニスブームが巻き起こるか?
「東京オリンピックに日本人として出たい」
窮屈といえば、記者会見では聞いていてもなんだか窮屈に感じるやり取りもある。
「ユニフォームの日の丸を見てテンションが上がるか」を聞かれると、「Hmmm」としばし考えをめぐらせ、「背中のJAPANのほうが感じるものはあるけど、それでテンションが上がるということはない。それよりも、ベンチでコーチも選手もみんなが応援してくれているのを見るほうが力が出る」と続けた。
もう1つ、これも日本にいる間、嫌というほど聞かれたことに違いないが、「東京オリンピックに向けての意気込み」である。
大坂は正直に、スマートに答えた。
「今はそこにあんまり力を注いでいません。まだ2018年で2020年までには2年もあるし。もちろんそこでプレーするのは楽しみだし、すごく期待されているのもわかっているけど、タフなことだとも思う。出られればプレゼントのようなものと考えています」
10代の頃から「東京オリンピックに日本人として出たい」と言っていたことは間違いないが、それも決してトップのプライオリティではなく、夢は「世界ナンバーワンになること、グランドスラムで何回も優勝すること、フェドカップとオリンピックでプレーすること」だと聞いた。
しかも、状況は大きく変わっている。来月の全仏オープンで優勝を狙える大坂に対し、ウィンブルドンも全米オープンも獲るチャンスがある大坂に対し、今最大の興味と期待がなぜ2年後のオリンピックなのか。
アメリカと日本、そしてハイチと。
日の丸とか日本とかそんな枠の中に大坂なおみというプレーヤーを落とし込みたくはない。いつも思い出すのが、2年前にインタビューしたときに言っていた「アメリカ人でも日本人でもなく、テニスプレーヤーと呼ばれたい」という言葉だ。
また、今年の全豪オープンで海外メディアでもちょっと話題になったのが、オンコート・インタビューで「アメリカと日本」を大坂にとっての2つの祖国と位置づけたインタビュアーに、「お父さんの故郷ハイチもあるから、実際のところは3つを代表しています」と言ったことだった。
咎めるような口調ではなく、3本の指を立ててにっこり笑って。