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就活生に贈るジェフ町田也真人物語。
人生を変えたブライダル会社の面接。
text by
杉園昌之Masayuki Sugizono
photograph byJ.LEAGUE
posted2018/04/25 16:30
就活から8年後の今、町田也真人はプロサッカー選手として闘う喜びを感じてピッチに立つ。
メールに後押しされて初優勝、J内定。
進路のことで葛藤していた21歳(当時)は1通のメールにも後押しされ、吹っ切れた。すでに予定が入っていた面接だけをこなし、一般企業の就職活動を停止。4月からはサッカーだけに打ち込んだ。関東大学1部リーグが開幕すると、背番号10のプレーメーカーは初優勝につながる快進撃を支えた。
「あの体格ではプロは厳しい」というプロ関係者の声も耳に入ってきたが、つぶさに観察していた千葉の斉藤和夫スカウトの評価は違った。味方の欲しいタイミングでパスを出せる、ゲームを読む力もある、ボールを奪うのも巧みで、負けん気も強い。
最終チェックは8月の天皇杯東京都予選の横河武蔵野FC(現・東京武蔵野FC、JFL)、町田ゼルビア(当時JFL)との試合だった。体格の勝る相手に対しても持ち味を存分に発揮する姿を見て、確信した。「プロでもやれる」。すぐに獲得の意思を本人に口頭で伝えた。
「ずっと見ていた。キミを獲得したいと思っている」と。
有力選手のほとんどは夏前にJクラブへの内定が決まっていたものの、町田が正式にオファーを受けたのは夏も終わりかけた9月。クラブが加入内定を発表したのは12月1日だった。長くて険しかった「就職活動」はようやく終わりを迎えた。サッカーに邁進し、あきらめずにつかんだ“第1志望”への内定。喜んでも浮かれることはなく、義理は欠かさなかった。
インカレ決勝、応援に駆けつけてくれた。
採用試験で「サッカー、頑張ってください」とエールを送ってくれた人事担当者の小野さんにもプロ内定を直接報告。すると、「おめでとう」と心から喜んでくれたうえに、2012年1月、全日本大学選手権(インカレ)の決勝には最初に面談した女性担当者と一緒に応援に駆けつけてくれた。そこで、町田は全3ゴールに絡む活躍で、初優勝の立役者となる。
「たった一度、面談しただけの大学生の試合をわざわざ見に来てくれたんですよ。信じられますか?」
いま振り返っても、言葉には感情がこもる。そのとき、心に誓ったという。結婚式を挙げるなら、この人たちに絶対に頼もうと――。