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就活生に贈るジェフ町田也真人物語。
人生を変えたブライダル会社の面接。
text by
杉園昌之Masayuki Sugizono
photograph byJ.LEAGUE
posted2018/04/25 16:30
就活から8年後の今、町田也真人はプロサッカー選手として闘う喜びを感じてピッチに立つ。
面接で「どうしてうちに入りたいの?」。
いまでも忘れられないのは、ブライダル関係の「ノバレーゼ」という会社の採用試験だ。
1次試験は集団面接。学生5人に対して、会社側の担当者は1人。履歴書とは別に用意されたシートに自分を表現する写真を貼り付け、一人ひとりがその意図を面接官に説明するというものだった。町田はあえて履歴書と同じスーツを着た写真を選び、堂々と説明した。
「大学サッカーの試合日は、いつもスーツで会場に向かいます。この服を着ると、これから試合だという気持ちになるんです。きょうもこれから面接だ、いくぞと気合が入るのでスーツの写真を持ってきました」
面接官に実直さが伝わったのか、第1関門は見事にパス。次のステップは1対1の面談。そこで、女性の担当者に率直な質問をぶつけられた。
「ここまでずっとサッカーをやってきて、どうしてうちの会社に入りたいの?」
会社説明会のときからノバレーゼの社風に惹かれていたのも事実。明るくて、いきいきとし、ユーモアも感じたという。一番、しっくりきていた。ただ、このときに求められていた答えは、もっと核心的なことだと感じた。正直に話した。
「この場では大変失礼かもしれませんが、就職活動という経験もしたいと思いました。僕はプロサッカー選手になることをいまもあきらめていません。ただ、プロになれるかどうか不安もあります」
「それなら、サッカーの道に進むべきです」
すると、その担当者ははっきりと口にした。
「それなら、サッカーの道に進むべきですよ。ちょっとここで待っていてほしい」と言われ、しばらくすると、別の人事担当者が部屋に入ってきた。小野雅和と名乗った人は、すぐに本題を切り出した。
「いまはサッカーに専念した方がいいと思います。もしプロになれなかったときは、うちに連絡してください」
すっと名刺を渡され、そこには連絡先も書かれていた。夢を応援してくれる親身な対応に心を打たれた。その日のうちに小野さんにお礼のメールを入れると、すぐに返信がきた。
「サッカー、頑張ってください」