最終ラインの若返りとGKエデルソンの獲得。

　一方の新戦力は、いずれもグアルディオラのお眼鏡に適った20代の選手たちだ。ウォーカーはフィジカルの強さに加え、オフ・ザ・ボールの動きに日進月歩の成長を遂げている。「いずれはフィリップ・ラーム、ダビド・アラバの領域へ」と、指揮官の評価も非常に高い。

　また、ダニーロもポジショニングに進歩の跡が見られ、ラポルテのフィード能力は誰もが認めるところだ。序盤戦で膝を負傷し、長期の戦線離脱を余儀なくされたメンディは戦力にならなかったが、グアルディオラの人選が誤っていなかったからこそ、今シーズンのシティは独走できたと断言できる。

　さらにGKエデルソンの獲得も、大きな大きな戦力アップにつながった。

　なにしろ、昨シーズンは最後尾が緩すぎた、酷すぎた。

　グアルディオラが期待したクラウディオ・ブラボはシュートを止めることすらできず、ウィリー・カバジェロも、チームの信頼を勝ち取るようなパフォーマンスを見せられなかった。チェルシー戦で3失点、レスターとエバートンには4ゴールを奪われるなど、高めのライン設定とGKの非力が糾弾される試合もあった。

323億円もの“投資”は意味があった。

　しかし、守備範囲が広く、足下のボール処理にも優れたエデルソンの加入が奏功し、失点はリーグ最少に激減している。最後尾のゲームメーカーよろしく、精度の高いフィードで攻撃の起点にもなった。

　グアルディオラにとって、GKは単なるシュートストッパーではなく、フィールドプレーヤーとしても水準以上の能力を有していなくてはならない。エデルソンもまた、理想に近づくための貴重なアイテムだったのだ。

　こうして、シティの陣容はほぼ固まった。

　サイドバックの大半とGKを入れ替えるため、2億1540万ポンド（約323億1000万円）もの巨費を投入したことが各方面で批判されているものの、今シーズンのプレミアリーグを見る限り、そしてさらなるレベルアップが見込める来シーズン以降の期待値を含めても、天文学的な数字に眉をひそめるばかりでは進歩がない。

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