“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
ベガルタの快進撃を支える21歳。
謙虚すぎる万能FW、西村拓真。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2018/04/14 07:00
J1第7節終了時点で、2位につけるベガルタ仙台。その勝負強さで若さを感じさせないプレーを見せる西村拓真。
「早く点が欲しい」という焦りが一切なかった!?
オフ・ザ・ボールの動き、そしてシュートの形に持ち込むアプローチのバリエーション。彼がずっとこだわって磨き続けてきたものが、高校選手権優勝、プロ入り、ニューヒーロー賞、そしてプロ初の1試合2得点と、しっかりと結果という「果実」に結びついてきていた。
「当然、使ってもらっていて、思うように結果が出ないことは多いと思います。例えば、昨年、今年を振り返っても、僕は点が獲れるポジションをやらせてもらいながらも、周りを納得させるほど点を獲ることができなかった。でも、もどかしさよりも『日々を積み重ねよう』という想いの方が強かったので」
彼に「早く点が欲しい」という焦りは一切なかった。
この焦りは時にメンタルに大きな影響を及ぼし、獲れない時期が続けば続くほど、自分を見失ってしまい、よりプレーの精度を欠いていく「負のスパイラル」に陥りがちである。
プロの世界においてその悪魔は常に近くで口を開いて待っているが、地に足がついている西村には、その存在はまったく気にならなかったようだ。むしろ「より確率を上げていこう」という思考に切り替えられたのだろう。
「今、一番言われているのはシュートですね」
「今日、目標だった1試合2得点はできましたが、まだまだ足りないことが多い。
福さん(福永泰コーチ)と良く議論をしていて、『ボールを隠せ』、『軸足でスピードに乗れ』など、福さんの持っているドリブルの感覚を聞きながら自分のモノにしようとしています。
今、一番言われているのはシュートですね。自分の近い位置にボールを奥と良いシュートは打てないのですが、遠い位置に置くと良いシュートを打つ確率が上がる。今日の2点目のゴールは完全にその練習の積み重ねが出ました」