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大谷翔平のあの偉業をどう伝える?
Number初“二刀流表紙”ができるまで。
text by
瀬尾泰信(Number編集部)Yasunobu Seo
photograph bySports Graphic Number
posted2018/04/12 11:30
打者編と投手編というNumber史上初の“二刀流表紙”。今後も、大谷翔平はきっと我々を驚愕させ続けてくれるはずだ!
表紙は大谷。で、打者か投手か?
そして……皆さんも御存知の通り、開幕からの大活躍で、辛口のメディアも評論家も手のひら返しの賞賛ぶり。
高校時代から彼をインタビューし、プロ入り後も彼の成長と歩みを10数回に及ぶ単独インタビューを通じて追いかけてきた小誌からすれば、彼に驚かされることにはもう十分慣れていたはずだが、それにしても、こんなロケットスタートを決めてくれるとは……。
我々も含めて、メディアや評論家の方は、この言葉を肝に命じるべきだろう。
「先入観は可能を不可能にする」──大谷が好きな言葉の一つである。
そしてこのタイミングで発売されるNumber950号(4/12発売)はもちろん、大谷選手を中心としたメジャーリーグ開幕号「MLB2018 DREAM OPENING 大谷翔平 夢の始まり」となった。表紙はもちろん、大谷選手。
しかし──。
ここで大変シビアな問題が発生した。
「投」と「打」、表紙、どっちにすればいいの???
でも……選べないよ、大谷くん!!
3試合連続弾、「OHTANI SA~N! DID IT AGAIN!(大谷さんが、また打ったよ!!)」を全米ホットワードに押し上げた「打」か。
最速99マイルの豪速球と「DEVIL'S SPRIT(悪魔のスプリット)」で強打者をバッタバッタなぎ倒した「投」か。
投打の写真を組み合わせて表紙を作ることはもちろんできるのだが、カバーとして迫力に欠ける。
体格はもちろん、その存在感の大きさを示すには、やはり大きく1枚、投打のどちらかを選ばなければならない。でも……選べないよ、大谷くん。
「だったら……2パターンの表紙を作れないものか」──。
小誌は一昨年、夏に出した別冊「Number PLUS プロレス2016」で、2パターンの表紙を作っている。オカダカズチカ(新日本プロレス)版と、中邑真輔(WWE)版。プロレスシーンを牽引する2人のどちらかに無理に絞るのではなく、それぞれの表紙バージョンを作りつつ、中身はほぼ同じという“一卵性双生児”作戦。
しかしあのときは、雑誌コードも事前に2つとっておくなど、周到な準備を積み重ねていた。今回は……準備なし。校了まで1週間を切った段階で、そう簡単にことは進まない。
そのとき、ふと閃いた。
紙の特性をうまく利用して、投打二つの表紙を両立させる絶妙な「投打調整法」が!