スペインサッカー、美学と不条理BACK NUMBER
攻めのポゼッションでドイツを翻弄。
史上最高のスペインは無敗でW杯へ。
text by
工藤拓Taku Kudo
photograph byGetty Images
posted2018/04/06 07:30
イスコがミスをする場面を想像するのは難しい。たとえそこが相手の守備網のど真ん中であっても。
ロペテギ監督就任以降、なんと18戦無敗。
デルボスケ時代の後半は「逃げのパス」を繰り返すばかりでなかなか相手ゴールに近づけず、「守りのポゼッション」と揶揄されることも少なくなかった。だが今のチームは単独で局面を打開できるアタッカーが増えたことで、能動的にライバルの守備網に揺さぶりをかけていく「攻めのポゼッション」を取り戻した。
しかも前線には、アルゼンチン戦でもゴールを決めたD・コスタ、イアゴ・アスパスなどスピードと機動力に優れたストライカーを複数擁しているため、必要とあればカウンターや速攻でゴールを奪うこともできる。
ロペテギ監督就任以降、親善試合を含めた戦績は13勝5分0敗。出場32カ国の中で唯一、負け知らずのまま5月のワールドカップ直前合宿を迎えることになる。
世界一に輝いた2010年南アフリカW杯を再現することは十分に可能だ。4年前のファイナリスト2チーム、優勝したドイツ、準優勝のアルゼンチンを相手に見せつけた戦いぶりには、そう期待させるだけの説得力があった。