ハマ街ダイアリーBACK NUMBER
DeNAとラミレス采配に聖域はない。
1番・桑原将志に代打、打順変更。
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byKyodo News
posted2018/04/02 12:50
今永昇太ら先発ローテーション投手が開幕に出遅れているため、4月をいかに乗り切るかがカギになる。
昨季も山崎康晃を配置転換したことが。
桑原に代わり1番に大抜擢となったルーキーの神里和毅に対し、ラミレス監督は明確な起用意図を口にする。
「とにかく塁に出ること。フォアボールでもデッドボールでも何でもいいから塁に出る。1番が塁にさえ出ればチャンスは広がる」
ラミレス監督が今シーズンのテーマとして“スモールベースボール”を掲げている以上、当然の選択だともいえる。
「昨年は桑原にとって代わる選手があまりいなかった。だから我慢をして使い続けた。今年は他の外野手の調子がいい。桑原はファイティングスピリットを取り戻して、1番打者を奪い返して欲しい」
この決断の早さに驚きはしたが、振り返れば昨季の春先、山崎康晃がクローザーを外されたときと状況はよく似ている。
“聖域”などは決してなく、ポジションは自ら結果を示すことで奪い取り、奪い取ったら誰にも渡してはいけない。絶対的守護神だった山崎がクローザーをはく奪されたとき、ブルペンの雰囲気は一変したという。各選手が「結果を出さなければ」と強い危機感を持ったことはもちろん、「俺たちがやるんだ」とブルペンが一丸になった。
京山、神里の活躍で今季初勝利。
ラミレス監督は桑原の打順変更に関し、本人の奮起を促すのと同時に「これがチーム全体のウェイクアップコールになれば、いい方向にいくと思う」と述べている。
その狙いが当たったのかチームは3戦目にして、2年目の京山将弥の好投や、桑原に代わって1番に入った神里の走攻守にわたる活躍もありシーズン初勝利を飾っている。
「昨年以上の成績を挙げるためには“変化”が必要だ」と、ラミレス監督は常々語る。
初勝利を挙げたこの日、貴重な右の先発でありながらリリーフへまわった井納翔一は7回をきっちりと抑え、昨季不動だったショートからセカンドにコンバートされた倉本寿彦は貴重なタイムリーを放っている。
果たして桑原は、「彼は年間200安打できる能力がある」と評価するラミレス監督に応えられるのか。