野ボール横丁BACK NUMBER
複数投手制とエース不在のジレンマ。
創成館の5本柱に、夏までの宿題。
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byKyodo News
posted2018/04/01 17:00
継投の重要性が今後薄れることはないが、いざという時に頼れる投手の存在もまた、色褪せることはない。
川原「自分がエースではない」
捕手の平松大輝も、真の意味で「エース」と呼べる投手の必要性を痛感していた。
「強いチームはどこでもエースと呼ばれる投手がいて、ピンチになっても最少失点で切り抜けてくれる。そういう勝負強いピッチャーがいないとダメだと思う」
創成館のエース番号を背負っているのは、この日、実質抑えとして3番目に投げた左腕の川原だが、こう控えめに話す。
「自分がエースというのはない。うちは継投のチームなので、俺が、俺がではいけないと思うので」
本数が多くても、1本が細ければ。
そんな「心優しき」投手陣に稙田監督は、こう注文をつけた。
「本当はみんなに『俺が、俺が』になって欲しい。交代するときも、あまりにも素直に応じるので、『まだ投げます!』ぐらいのことを言って欲しいんです。ピッチャーなので内心はみんな自分がエースだぐらいの気持ちは持っているんでしょうけど、それをもっと表に出してもいいと思うんですよね」
どんなに本数が多くても、1本1本の柱が細ければ、やはり家はつぶれてしまう。
さて、4カ月後――。
創成館は、どんな構造の「家」にリフォームされているだろうか。