酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
オープン戦のデータは縁起物である。
巨人、ロッテ、オリックスが優位?
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKyodo News
posted2018/03/30 07:00
'17年オープン戦首位打者に輝いたシリアコ。しかしシーズンに入るとバットが湿り、1年での退団となった。
首位打者には稲葉、秋山らの名が。
最後に個人成績を見ておく。
個人に関して言えば、オープン戦の成績ほどあてにならないものはない。昭和の時代、阪急に今井雄太郎という投手がいたが、この右腕はオープン戦では快投に次ぐ快投で、今年こそエースに、と言われたが鳴かず飛ばず。ようやくプロ8年目に13勝を挙げてエースになったが、それまで春先に期待させては二軍落ちする繰り返しだった。
試合数も少ないし、起用される選手数も多いオープン戦の成績は、あくまで「参考記録」なのだ。
<過去10年のオープン戦の首位打者→レギュラーシーズンの打撃成績>
2008年 稲葉篤紀(日)35打数14安打 打率.400→448打数135安打 打率.301(8位)
2009年 栗山巧(西)55打数22安打 打率.400→569打数152安打 打率.267(22位)
2010年 G.G.佐藤(西)30打数13安打 打率.433→162打数33安打 打率.204
2011年 浅村栄斗(西)34打数15安打 打率.441→437打数117安打 打率.268(15位)
2012年 松山竜平(広)62打数25安打 打率.403→137打数28安打 打率.204
2013年 畠山和洋(ヤ)56打数22安打 打率.393→360打数79安打 打率.219
2014年 井上晴哉(ロ)46打数20安打 打率.435→95打数20安打 打率.210
2015年 秋山翔吾(西)37打数17安打 打率.459→602打数216安打 打率.359(2位)
2016年 鈴木大地(ロ)45打数18安打 打率.400→501打数143安打 打率.285(10位)
2016年 坂田遼(西)40打数16安打 打率.400→151打数37安打 打率.245
2017年 シリアコ(De)56打数21安打 打率.375→27打数2安打 打率.074
2018年 内田靖人(楽)44打数17安打 打率.386→?
オープン戦もレギュラーシーズンも首位打者になった選手はいないが、2015年の西武、秋山翔吾は、オープン戦首位打者で開幕ダッシュし、216安打のシーズン記録を作り、打率はトリプルスリーのソフトバンク柳田悠岐に負けて2位だった。
昨季のシリアコはシーズンたった2安打。
そういう選手がいる一方で、昨年のシリアコのようにわずか2安打で終わったケースもある。
2014年のロッテ、井上はオープン戦の成績を評価され開幕4番に抜擢されたが期待に応えられず、20安打で終わった。
今年の首位打者、楽天の内田靖人は22歳の新鋭。まだ通算で31試合しか一軍戦に出場していない。彼は開幕後も活躍できるだろうか?