プロ野球亭日乗BACK NUMBER
高木京介は結果以外でも問われる。
巨人支配下復帰と松井秀喜の想い。
posted2018/03/30 11:00
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
Kyodo News
先日、ある取材で巨人軍・長嶋茂雄終身名誉監督のお話を伺う機会があった。そのときに自然と巨人の話題になると、長嶋名誉監督は「まだオープン戦の段階だけど」と前置きをしてこう目を輝かせていた。
「今年はちょっと違うよ。ここ2、3年にないムードがある」
ミスターが古巣への期待を膨らませるのも当然かもしれない。
待望の大砲としてアレックス・ゲレーロ外野手が4番に座り、期待の若手、4年目の岡本和真内野手と2年目の吉川尚輝内野手が開幕スタメンに名を連ねる。
投手陣を見回せば大黒柱の菅野智之投手と左腕・田口麗斗投手が好調な仕上がりを見せ、移籍組の山口俊、野上亮磨両投手で昨年14勝したマイルズ・マイコラス投手の穴がどうにか埋まりそうなメドも立った。懸案だったスコット・マシソン、アルキメデス・カミネロ両助っ人につなぐ7回のリリーバーには上原浩治投手が電撃復帰。澤村拓一投手の復活もあり終盤のリリーフ陣の顔ぶれも揃った。
昨シーズンは11年ぶりにBクラスの4位に転落。そこから戦力を再整備し、ようやく若い力も芽吹いて、今季は覇権奪回に盤石の布陣が整ったように見えるのだ。
左のリリーバーだけ埋まっていなかった。
ただ、確かに充実した戦力となったが、1つだけポッカリと空いた穴があった。
それは左のリリーバーだった。
本来なら昨年、フリーエージェントでソフトバンクから移籍してきた森福允彦投手がその役割を担うはずだった。ところがキャンプから一向に調子が上がらないままに開幕は二軍スタートが決定。他の候補として名前が挙がった戸根千明、池田駿投手らも決め手に欠けて“帯に短し、襷に長し”という状態だった。リリーフ左腕が開幕を前に唯一、埋まっていなかったスポットだったのである。
その穴を埋める存在として急浮上してきたのが、野球賭博に関与して1年間の失格処分を受けた高木京介投手だった。