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酒井高徳はこの現実から逃げない。
「僕はできるんだというのを」
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byGetty Images
posted2018/03/29 07:00
クリアがあわやオウンゴールという場面もあったウクライナ戦。酒井高徳のアピールへの厳しい戦いは続く。
当落線上の選手はみな、吉報を待つだけ。
「それでも、僕はできるんだというのをチームで見せるしかない」
失点シーンを細かく振り返っただけでなく、自身のダメ出しにもためらいがなく、正直にそのシーンを振り返った酒井は、そう言って20分近い取材対応を終えた。歩き出そうとする彼に、ハンブルクで何を一番に磨くのかを確認したかった。
「はい、まずは守備です」
組織が機能せずとも、1対1に負けないことでゴールは守れる。欧州で経験を積んだ守備力を代表でもいつも通りに発揮できるよう、彼はハンブルクでの日々を生きる。
また今年も残留争いだ。一度も2部降格を経験したことのないクラブでの、初降格チームのキャプテンになりたくはないだろう。
現実を嘆くのではなく、現実と向き合い、そこから逃げない。そういう時間が酒井高徳にとり、まったく無駄だったわけではない。毎シーズンのように残留争いをしているけれど、すべてで残留を遂げているのだから。その奮闘がハリルホジッチ監督に届くかどうかはわからないけれど、それを信じるしかない。
酒井に限らず、ワールドカップメンバーの当落ライン上に立つ選手たちはみな、自分を信じ、毎日に力を尽くし、吉報を待つだけだ。