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スアレスに殴られ蹴られて成長した男。
湘南スタイルの肝はアンドレ・バイア。
text by
熊崎敬Takashi Kumazaki
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2018/03/27 11:00
湘南に所属して4年目。最終ラインを司るバイアは不可欠の存在だ。
勝負手を払いのける判断力、胆力。
川崎に1点は許したが、バイアは万全の対応で川崎、名古屋を封じ込めた。敵に包囲され、細かくパスをまわされても容易には出て行かない。右の山根視来(やまね・みき)、左の大野和成にマークを任せ、これは危ないという最終局面になって初めて敵と対峙するのだ。
敵が「もらった!」と思ったところに現われ、「悪いけど、ここから先には行かせないよ」と行く手を阻む。
甘い誘いに乗らず、勝負手を確実に払いのける判断力、胆力に舌を巻いた。
いいものを見せてもらったお礼も兼ねて、湘南の練習場に足を運び、バイアに話を聞かせてもらった。
あえて奪いに行かず観察する時も。
――守備で大切なことはなんですか?
「試合を読むこととポジショニングだね。きみが言うように、川崎戦と名古屋戦はいい守備ができたと思う。この2チームは質が高く、ぼくらは難しい試合を強いられた。いつ、どこから敵が侵入してくるかわからないし、身体の向きのような細かいフェイクを織り交ぜてだまそうとしてくるんだ。
でもぼくらは1人ひとりの距離を短くして、敵にスペースを与えなかった。それがよかったと思う。強いチームと対戦するのは大好きだよ。やりがいがあるからね」
――守ることは好きですか?
「大好き。ブラジル人のイメージと違うかもしれないけど、ぼくは本当に守ることが好きなんだ。敵が何をしてくるか読んで、ポジショニングを決める。ボールが入ってきたら取りに行くのか待つのか。あえて奪いに行かず、どう動くか観察するときもあるよ。
こうした動きに、これと決まったレシピはない。自分で考え判断してプレーする。それを繰り返していけば、いいプレーができるようになると思う。僕も幼い頃から、いろんなところでプレーして動きを身につけたんだ」