ROAD TO THE DERBY 2018BACK NUMBER
父ロードカナロアのスピードが武器。
ステルヴィオは第2のキタサンを目指す。
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph byKeiji Ishikawa
posted2018/03/21 07:30
すでに1800mまで経験しているステルヴィオは、皐月賞は問題なく適性範囲内。ダービーから中長距離路線も視野に入れている。
体が大きく見えても、体重は微増。
先述の木村は「折り合いも苦労しないし、扱いやすい馬」と語ったが、これに首肯するのが過去5戦のうち新馬戦やスプリングSを含む4戦で手綱をとってきたクリストフ・ルメールだ。
「とても大人しくてコントロールしやすい馬です。休み明けのスプリングSでも無理することなく中団で競馬ができました」
朝日杯FSで惜敗した後はノーザンファーム天栄に放牧された。年が明けて2月23日に美浦トレセンへ帰厩。当時の馬体重は470kg台。それまでの4戦は456~462kgだったから、体が増えて出てくることが推察できた。
実際、当日の体重は過去、最も重かったが、その数字は466。微増にとどまる感じである。しかし、ルメールは言う。
「みた感じではもっと増えているのでは? と思えるくらいでした」
「勝ちきったことは大きいですね」
道中中団で流れに乗ったステルヴィオは、コーナーで大外を回ると、直線では先に抜け出したオルフェーヴル産駒エポカドーロを一完歩ごとに追い詰めた。
このゴール前のシーンを、実際に手綱をとったルメールの解説付きでみる機会に恵まれた際、彼は画面に映るパートナーを指さしながら言った。
「追ってからはとてもビューティフルな大きい跳びで走ってくれました。ゴール寸前は自らグッと沈むような感じで前に出てくれました」
見事に差し切り勝ちをしたわけだが、ゴールの瞬間、鞍上は勝利を確信できていなかった。
「正直、届かなかったと思いました。まぁ、残念だけど休み明けだし、本番はこの先のレースだから、競馬ぶりとしては及第点だと思いました」
ところがハナ差、捉えていた。その事実については次のように言う。
「プレップレース(前哨戦)といえ、重賞なので勝つことは大切。届いていて良かったです」
木村も異口同音に「勝ち切ったことは大きいですね」とコメントした。